平成192007)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

19−共研−2005

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

3

研究課題名

空間統計の適用によるリュウキュウマツ植林が亜熱帯林の景観構造に及ぼす影響の定量化

フリガナ

代表者氏名

クボタ ヤスヒロ

久保田 康裕

ローマ字

KUBOTA Yasuhiro

所属機関

琉球大学

所属部局

理学部海洋自然科学科生物系

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

170千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

南西諸島南端域の西表島には、低地帯の伐採跡地に約40年生リュウキュウマツの植林地が分布している。戦後より木材としての利用価値から伐採跡地にはリュウキュウマツの蒔種が行われてきたが、現在では林地は放棄され、植林地の一部は照葉樹の生長で混交林になっている。したがって、西表島の森林景観は、リュウキュウマツ林の動態によって今後変化することが予想される。本研究では、リュウキュウマツ植林地と常緑照葉樹二次林の遷移過程を比較し、リュウキュウマツ植林が亜熱帯林の再生過程に及ぼす影響を明らかにした。
 両林分の構成種をTWINSPANによる群分析やNMSによる座標付けによって、リュウキュウマツ混交林における林木種組成の遷移過程を検討した。遷移初期段階のリュウキュウマツ混交林は、シャリンバイやボチョウジを優占種し、イヌビワ、ヒラミカンコなどのリュウキュウマツ混交林の特徴種が出現した。遷移が進行するにつれて、シャリンバイやスダジイを優占種とし、リュウキュウモチやシマミサオノキなどの常緑照葉樹二次林の特徴種が出現した。スダジイなどの萌芽特性をもつ常緑照葉樹二次林の構成種が出現することによって、遷移の進行したリュウキュウマツ混交林では林木幹密度が増加した。また、遷移初期のリュウキュウマツ混交林の構成種と常緑照葉樹二次林優占種が混在するため種数や林木種多様性が増大すると考えられた。また本研究から、リュウキュウマツ混交林において常緑照葉樹二次林よりもパイオニア種が多く出現することが分かった。
結論として、リュウキュウマツ植林は、常緑照葉樹二次林の再生過程に比べて遷移が異なると考えられた。また、林分全体の共通出現種が少ないことやパイオニア種の突発的な出現によりβ多様性を高くなっていると考えられた。リュウキュウマツ混交林におけるβ多様性の高さから、今後の遷移過程が多岐的に進行することが予想され、一時的に優占しているリュウキュウマツの動態によって森林景観が変化する可能性が示唆された。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

本研究の成果の一部は、日本生態学会大会(愛媛大学)で発表した:
大迫武治・久保田康裕(2007)リュウキュウマツ植林が亜熱帯性常緑照葉樹林の再生過程に及ぼす影響 。

なお、研究の詳細は、研究代表者(久保田)のWebサイトでも公開している。以下Webを参照。
http://www.kubota-yasuhiro.com/

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

特になし。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

島谷 健一郎

統計数理研究所