平成111999)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

11−共研−2063

専門分類

8

研究課題名

言語の文法構造と確率モデル

フリガナ

代表者氏名

ウエダ スミエ

上田 澄江

ローマ字

Ueda Sumie

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測制御研究系

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

語順規則「名詞と側置詞」の語順と、「S,OとV」、「所有格と名詞」、「副詞と動詞」など8
項目の語順には高い相関がある。これら8項目に着目すると、日本語と正の相関をもつ言語には、韓
国語、タミル語などがある。また、負の相関を示す言語には、ヨーロッパの言語やインドシナ半島地
域の言語があり、双方ともに語順の観点からみて安定した言語であるようにみえる。対立したこれら
の言語の間隙を、アメリカ原住民語、オーストラリア原住民語、ペルシャ語などが分布している。こ
れらの分布を、多数決モデルのシミュレーションによって再現することを試み、よい結果を得た。言
語を常に変貌するものとしてとらえ、安定な言語から不安定な言語へ、さらに対立する安定な言語へ
と推移していく課程を、イジングモデルに類似した多数決モデルを仮定することにより表現したもの
である。また、ある制約の下に1言語の語順変化の変遷をたどることは、すなわち角田の語順表にお
ける130言語の分布をよく表すことを示した。
 オーストラリア原住民語の収集データのテープ興しをおこない、文法の整理および統計的分析をお
こなった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

(1)上田澄江・伊藤栄明,語順規則による世界の言語の階層クラスタ分析,応用統計学,
20(1991),155-166。
(2)Tsunoda,T,Ueda,S.and Itoh,Y.,Adpositions in word order typology,Linguistics,33(1995),
741-761.
(3)上田澄江,伊藤栄明,語順規則による言語の分類と2パラメータモデル,統計数理,
43(1995),341-365。
(4)伊藤栄明,上田澄江,共存と確率モデル,生命体科学,(1998),86-92。
(5)Tsunoda,T,Expression of possession in Warungu of Australia,In Tooru Hayasi and Peri
Bhaskarao(eds.,Studies in possessive expressions,(1997),11-115.
(6)角田太作,オーストラリア原住民語の世界,言語,.28,.7(1999),42-49。
(7)角田太作,フィールドワーカーの任務と倫理,言語,.29,.2(2000),106-112。
(8)Itoh,Y.and Ueda,S,The Ising model for changes in word ordering rules for natural languages,
Research Memorandum 753,(2000).

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊藤 栄明

統計数理研究所

角田 太作

東京大学