平成71995)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

7−共研−25

専門分類

3

研究課題名

時系列解析支援システムの試作

フリガナ

代表者氏名

ナカノ ジュンジ

中野 純司

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

統計計算開発センター

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

時系列解析のための統計パッケージは多く存在しているが,ほとんどが手法の集合体といえるものであり,たとえ不適切な使い方をしても一見もっともらしい結果をだしてしまう。われわれの目的は,そのような場合には警告をだしてくれるような知的なパッケージを作成することである。そしてシステムと使用者が協力してよい時系列解析が行えるような環境を作りたい。そのためには,人間にも計算機にも便利なように時系列解析に関する情報を保存・利用・獲得する方法を考察する。


われわれの目的は手法の集合体ではない、システムと使用者が協力してよい時系列解析が行えるような新しい時系列解析支援システムを作成することである。そのため、オブジェクト指向の考え方を用いてシステムを設計することにした。すなわち、データをオブジェクトと考え、それに適応可能な統計手法をそのメソッドとする。そして、計算された統計量はやはりオブジェクトと考えるが、それは元になるデータに付随したものであると考える。この考え方を使用者に直感的に知らせるために、われわれはそれぞれのオブジェクトが GUI (Graphical User Interface )のアイコンとなるようにした。そして、そのアイコンをマウスで指定すると可能な統計手法(メソッド)がメニューとして出現するという視覚的操作を実現した。また、オブジェクトであるデータ(計算された統計量も含む)の依存関係はアイコンの位置関係および結線関係により視覚化され、解析の履歴がはっきりとわかるようにした。統計手法としては、TIMASC72 WIndows 版のものを主として利用し、それに加えて Box-Jenkins 法を適用するときに必要となる手法をいくつか組み込んだ。数値計算を除いた部分はTcl/Tk 言語を用いてオブジェクト指向的なプログラムが書きやすいようにしたもので実現した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

山本由和・中野純司・田村義保, MS-Windows 版 TIMSAC 72 の UNIX への移植,統計数理 Vol. 43, No.2, pp.285-292
山本由和・中野純司、視覚的操作による時系列解析システム(仮題)、投稿予定

山本由和・中野純司、視覚的操作による時系列解析システム、日本統計学会、1996 年 9 月 予定

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

上記の目的のために,オブジェクト指向の考え方に基づいてシステムを設計する。ちょうど統計数理研究所でも TIMSAC72 の Windows 版の作成に際してこの考え方を利用している。ただ,そのプログラムを検討したところ,データや出力のオブジェクト化はまだ不十分といわざるをえない。現在,これらのオブジェクト化を進めている。なお,Windows だけではなく UNIX オペレーティングシステム上でもこのシステムを稼働させることを考えているので,消耗品としてこれを要求したい。時系列解析手法の知識の整理も平行して行っているが,これについてはほとんど定石化しているBox-Jenkins 法を中心として,その欠点を補う形で他の手法をシステムにまとめることにしたい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

生駒 哲一

広島市立大学

小林 郁典

徳島文理大学

田村 義保

統計数理研究所

山本 由和

徳島文理大学