平成クオ1989)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

クオ−共研−4

専門分類

1

研究課題名

統計学における知識表現の研究

フリガナ

代表者氏名

ナカノ ジュンジ

中野 純司

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

統計計算開発センター

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

7 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

統計知識には,数学モデルに関する知識と,データに関する知識があるが,統計エキスパートシステムを開発するにはこれらを統合してあつかう必要がある。そこで本研究では,最近のプログラミングパラダイムであるオブジェクト指向の観点から統計知識を整理し,その具体的表現法を開発することを目的とする。


本研究の動機は数学モデルに関する知識と,データに関する知識を統合した統計的な知識をオブジェクト指向の観点から整理し,その具体的表現法を開発したいということであった。しかし,それだけでは研究が発散してしまう恐れがあるので分野を重回帰分析に限り,その計算機上でのインプリメントを平行して行うという方針をとることにした。
まず,それぞれの共同研究員が個別にそれらに関する話題で得意なものの評価・検討を行った。調査された話題としては,重回帰分析の知識(いわゆる回帰診断)と実際の解析例の収集,オブジェクト指向プログラミングの流れ,最近の統計パッケージ(New S,XLISP−Stat,Systat,RATSなど),統計エキスパートシステムの研究状況(REXなど)などである。そして,いろいろな機会をとらえて研究状況の情報交換を行った。特に,中野・岡田・山本が中心となってワークステーション上のシステムを作りはじめることにした。そのプログラム(RASS,Regression Analysis Supporting System)をたたき台として,1990年2月2日に統計数理研究所で研究集会を開き,総合的な検討を行った。そして,RASSの基本的構造などについて討論し,この方向でシステムを実用的なものに育てあげることを決定した。
RASSは統計知識表現にオブジェクト指向パラダイムを利用し,推論部のプログラムはProlog言語で,統計計算部のプログラムはC言語で作成し,ユーザーインターフェースにはX−Windowを用いている。また,推論形式としては黒板モデルを用いるものである。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

中野純司・山本由和・岡田雅史:重回帰分析支援システムRASSの概要。日本品質管理学会第37回研究発表会(1990年5月12日)発表


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

オブジェクト指向的な統計パッケージとして,New SとXLISP−STATがあり,また統計エキスパートシステムの例としてREXがある。これらを評価・研究しなければならないが,その実行のために統計数理研究所の計算機環境を利用する必要がある。本研究では,それらを参考にしながら,まず重回帰分析に関する知識表現をとりあげる。重回帰分析は需要が多い平易な数学的手法ではあるが,回帰診断のようにデータの知識をうまく利用しないとよい統計解析が行えないことが知られている。したがって総合的統計知識表現の研究のためには最適な分野と考えられる。知識表現は統計数理研究所のワークステーション上のProlog言語で記述されたオブジェクト指向エキスパートシェルを基本としたシステムで具体化し,実用的な重回帰分析エキスパートシステムを作成するとともに,他の統計分野に利用できるような形式にまとめたい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

岡田 雅史

徳島県工業試験場

刈谷 丈治

山口大学

田村 義保

統計数理研究所

西尾 敦

明治学院大学

山本 由和

徳島文理大学

渡辺 則生

中央大学