平成172005)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

17−共研−2042

専門分類

7

研究課題名

森林群集における生産量の時空間変動の解明に関する研究

フリガナ

代表者氏名

クボタ ヤスヒロ

久保田 康裕

ローマ字

Kubota Yasuhiro

所属機関

鹿児島大学

所属部局

教育学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究では、暖温帯針広混交林の永久固定調査区の毎木調査データを用いて、森林の生産量の空間スケールにおける変動機構を解析した。
九州南部のモミ−ツガ林において、林木種の更新動態とギャップ撹乱が多種共存に及ぼす効果を永久方形区の長期観察によって検証した。生育形の異なる常緑針葉樹・落葉広葉樹・常緑広葉樹が階層を分けて混交していた。常緑針葉樹と落葉広葉樹は、常緑広葉樹と水平方向で排他的分布を示した。常緑広葉樹の更新は林冠のギャップ形成に規定されていた。一方、常緑針葉樹と落葉広葉樹の新規加入個体は、調査期間中に観察されなかった。このことは常緑針葉樹と落葉広葉樹の更新が散発的で、現在の林分環境がこれらの更新に適してないことを示唆している。林冠優占種である常緑針葉樹と落葉広葉樹の枯死率と更新率のアンバランスは、林分レベルの地上部生産力を変動させる可能性がある。しかし、林冠個体の枯死によるギャップ形成は下層個体群の成長を促進させており、林分レベルの生産性の変動は、下層で優占する常緑広葉樹の更新によって部分的に緩和されると考えられた。暖温帯性混交林の水平・階層構造の異質性は、常緑針葉樹・落葉広葉樹・常緑広葉樹の更新ニッチの特異性と自然撹乱の相互作用で形成されており、そのことが地上部生産量を維持する要因になっていると結論した。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Kubota Y. (2006) Spatial pattern and regeneration dynamics in a temperate Abies ?Tsuga forest in south-western Japan. Journal of Forest Research 11:191-201.

藤井新次郎・久保田康裕 (2006) 個体ベースモデルを用いた亜熱帯林の動態に関する解析。第53回日本生態学会(新潟)(ポスター発表)

Kubota Y., Kubo H. & Shimatani S. Spatial pattern dynamics over 10 years in a conifer/broad-leaved forest, northern Japan. Plant Ecology (in press)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

北村 系子

森林総合研究所

島谷 健一郎

統計数理研究所

馬場 昭浩

鹿児島県立・阿久根農業高校(現 鶴翔高校)