平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−4

専門分類

1

研究課題名

ウィナー空間上の確率解析と応用についての研究

フリガナ

代表者氏名

マツモト ヒロユキ

松本 裕行

ローマ字

所属機関

名古屋大学

所属部局

情報文化学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

10 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

前年度に引き続きウィナー空間上の停留位相法および鞍部点法の開発を目指す.必ずしも2次とは限らないウィナー汎関数に対しても理論を確立したい.その応用としてシュレディンガー作用素,リーマン多様体上のラプラシアンに対する跡公式などのスペクトルに関する問題を,確率解析,汎関数積分の立場から研究したい.


微分作用素のスペクトルと対応する古典力学の対応について、不定曲率を持つリーマン面上の一般化されたラプラシアン及びユークリッド平面上のラプラシアンを主シンボルに持つ 2次の作用素について確率解析の立場から研究した。
前者については熱核に対するセルバーグ跡公式を確率解析を用いて証明することによって対応する古典力学の作用積分が重要な役割を果たすことを示した。考察したマースラプラシアンに対する熱核がその確率論的な表現を用いて、1次元の作用素に対するものとフーリエ変換によって関係することを注意することが重要で、グリーン関数などの具体形がこれによって得られる。また、数理ファイナンスの研究に現れる指数型のウィナー汎関数が表現の中に現れ、その性質も調べた。
後者についてはメタプレクティック表現の理論を用いて対応する古典力学のシンプレクティック変換を行うことにより、扱いやすい作用素とのユニタリ同値性を示すことによって作用素のスペクトルを与え、対応する熱核の表現を与えた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Nobuyuki Ikeda - Hiroyuki Matsumoto, Brownian Motion on the Hyperbolic Plane and Selberg Trace Formula, to appear in J. Func. Anal.

池田信行,松本裕行,Selberg Trace Formula via Stochasic Analysis,日本数学会 97年度年会,1997年4月(信州大学).

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

(1)有限次元空間上の停留位相法,鞍部点法に対応するウィナー空間上の振動積分に対する漸近理論を確立する.(2)そのためには基本になると思われる2次のウィナー汎関数に対する理論を整備し,摂動に関する安定性について考察することが重要である.(3)これらの研究結果をリーマン多様体上のシュレディンガー作用素に対する跡公式や準古典極限の問題などのスペクトルの研究に応用する.熱核の解析が課題の1つであり,本研究には条件付確率,条件付平均の研究が不可欠である.また,有限次元分布の漸近展開は数理統計において詳しく研究されており本研究には数理統計学の基礎理論との緊密な協力が有益なので,当研究所の清水教授,志村助手との共同研究が必要である.


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上木 直昌

姫路工業大学

小倉 幸雄

佐賀大学

重川 一郎

京都大学

清水 良一

統計数理研究所

志村 隆彰

統計数理研究所

杉田 洋

九州大学

高信 敏

金沢大学

高橋 陽一郎

京都大学

谷口 説男

九州大学