平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−95

専門分類

8

研究課題名

関東地方における前方後円墳と国府との関連

フリガナ

代表者氏名

ウエキ タケシ

植木 武

ローマ字

所属機関

共立女子短期大学

所属部局

生活科学科

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

昨年度は、古墳時代(前期・中期・後期)を通して、前方後円墳の墳丘(マウンド)の系時的形態変化の実態を把握しようと試みた。今年度は、この解析結果をもとに、8カ所に存在した関東の国府や、当時の古代道との比較検討を行い、当時の地方豪族の政治的群雄割拠の実態を明らかにしてみたい。


今回は、近畿地方に対象を絞り、主軸長70m以上の前方後円墳のマウンド分析を行った。
『前方後円墳集成』から、主軸長70m以上で、各部計測値が明示され、なおかつ正確な実測図が掲示されているもののみを抽出すると、101例あった。これらの計測値から、後円部幅と後円部高で割った5つの比率値を出し、これらをもとにクラスター分析と数量化?類分析を行った。
クラスター分析を行うと、隔離値を除いて3つの大きな集団に分かれた。また、今回は更に細かくみるため0.7のところにcut-off lineを引くと、これにより?集団はA,B,Cのグループに、?集団の一部はDグループに、?集団はE,F,Gグループに分かれた。
更に、いわゆる「そっくりさん」とも言うべき最近似ペアー(3つ、あるいは4つの場合は最近似クラスター)も認識し、各レベルごとの考察をした。
数量化?類分析では、全体のものと、3・4世紀築造のもの、5世紀築造のもの、6世紀築造のものとに分けてみた。すると、3・4世紀の古墳は、だいたい細長いタイプのものが多く、5世紀と6世紀の古墳はガッチリして、後円部の高さに比較して、くびれ部や前方部が高い古墳が多いことが解った。
また、3・4世紀の古墳は、細長タイプといえども、形にヴァリエーションが大きくあり、5世紀とか6世紀の古墳は、形が一定化する傾向にあり、ヴァリエーションがなくなってきたことが解った。
この点は、経験豊富な考古学者ならカンピュータで気付いてもいるだろうが、このように多数の古墳を客観的に分析し、視覚で理解できるということにひとつの成果があったと思いたい。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

植木 武・村上征勝他「前方後円墳から考察する大和中央政権と東国地方政権との構造的関連-関東地方と中部地
方を含めて」日本情報考古学会第4回大会発表要旨 pp.11-22.1997年9月。
植木 武・村上征勝他「前方後円墳から考察する大和中央政権と東国地方政権との構造的関連-関東地方、中部地
方、近畿地方を含めて」日本情報考古学会第5回大会発表要旨 pp.1-16.1998年3月。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

昨年度の分析対象となった関東地方の全長(主軸長)100m以上の前方後円墳は、総計95例あったわけであるが、後に詳細に調べてみると、マウンドが全体的に崩れていた例も入っていたり、基壇のある例(特に栃木県の例)は基壇の計測値を入れてしまったりした。本年度は、これらの点に留意しながら、オリジナルのマウンド形態を推持し、分析に耐えうる例のみを残しデータベース作成と統計解析を行いたいと思う。その上で、最近になり7世紀後半当時の古代道が古代史家により明らかにされた情報と、8世紀初頭に律令制が成立し国府が設定された情報を加え、当時の関東地方豪族の政治的割拠の実態を明らかにする。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

梅澤 重昭

群馬大学

大塚 初重

明治大学

村上 征勝

統計数理研究所