平成142002)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

14−共研−2052

専門分類

7

研究課題名

亜熱帯森林モニタリングデータの空間構造からみた時間発展解析

フリガナ

代表者氏名

クボタ ヤスヒロ

久保田 康裕

ローマ字

KUBOTA Yasuhiro

所属機関

鹿児島大学

所属部局

教育学部・理科教育・生物

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

〈目的〉
 本研究では、南西諸島における亜熱帯林の生産量や種多様性といった基礎的知見を明らかに
するとともに、個体レベルあるいはランドスケープレベルで、構成種個体群の空間配置に関す
る規則性を空間軸上および時間軸上において解析した。亜熱帯林の種多様性維持のメカニズム
を考える場合、考えなくてはいけないファクターは主に、人為影響と地形である。特に南西諸
島では森林利用の歴史は古く、そのランドスケープは二次林と自然林のモザイクとして存在す
る。したがって、人為影響がその多様性に及ぼした影響を定量的に把握する必要がある。本研
究の第一の目的は、伐採後再生した二次林と極相林(原生林)の植物種多様性を比較すること
によって、人為撹乱がどのような植物分類群に最も影響を与えるのかを評価し、林分再生に伴
う種多様性遷移パターンを明らかにすることである。本研究の第二の目的は、二次林から極相
林まで、様々な発達段階にある林分の空間構造動態を比較解析することによって、亜熱帯林の
空間構造の時間軸上における変動性を明らかにすることである。第三の目的は、地形を横断し
たトランセクトプロットを「一次元空間における環境傾度を伴う場」として捉え、空間軸
方向での林木群集の空間構造のパターン(異質性・均質性)および、空間配置に依存した
動態特性の有無を明らかにすることである。
〈研究経過〉
2002年5月,9月,12月 沖縄(国頭村)にて野外調査
2002年12月 鹿児島大にて研究打ち合わせ
2003年2月 統計数理研究所にて研究打ち合わせ
2003年3月 統計数理研究所にて研究打ち合わせ
〈結果の概要〉
 二次林と原生林の林木種多様性の比較により、二次林の林冠木は種数が少なく、特定の種
が優占していることがわかった。原生林ではより多様な林冠構成種が観察されたことから、今
後発達に伴い二次林の林冠種組成は変化することが予想された。原生林の空間構造の解析か
ら、亜熱帯特有の木性シダ(クロヘゴ)の空間分布が、林木種の空間配置、ひいては種多様性
に大きな影響を与えることが明らかとなった。さらに沖縄島亜熱帯林において地形に依存した
土壌環境要因と、各種個体間の相互作用といった生態要因を包括的に解析することも行った。
その結果、ランドスケープレベルでの複雑な地形が土壌特性の異質性を増加させ、林木種多様
性に影響することが明らかと成った。さらには、そのような環境の空間的異質性は各種個体群
レベルで枯死率・成長率等の動態特性にも影響し、群集の生産量をも規定していることが明ら
かとなった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文
Shimatani,K.and Kubota,Y.(2002)Quantitative assessment of spatial
structures in subtropical forests with high species diversity in southern Japan.
Research Memorandum 840,2002/6/6.The Institute of Statistical Mathematics.
ポスター発表
村田寛文・久保田康裕 地形傾度に伴う亜熱帯林木群集の構造と動態(日本生態学会・つ
くば国際会議場)
馬場昭弘・久保田康裕 沖縄本島北部の亜熱帯原生林における林木種とクロヘゴの空間分
布(日本生態学会・つくば国際会議場)
成川晃由・久保田康裕 亜熱帯林におけるスダジイの更新動態(日本生態学会・つくば国
際会議場)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

島谷 健一郎

統計数理研究所