平成202008)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

20−共研−1

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

3

研究課題名

国際比較調査、国民性調査、ソーシャルキャピタルと健康問題

フリガナ

代表者氏名

ツノダ ヒロコ

角田 弘子

ローマ字

Tsunoda Hiroko

所属機関

三重大学

所属部局

大学院医学系研究科公衆衛生学講座

職  名

大学院生 博士課程4年

 

 

研究目的と成果の概要

ソーシャル・キャピタルと社会心理的因子が人々の健康に及ぼす影響を大規模標本調査に基づき検討することを目的とした研究である。
日本の視点からソーシャル・キャピタルや社会心理的因子を捕らえ、従来の研究では使用されていない項目も取り入れ自覚的健康度(健康不満足度と自覚症状)との関連について
ロジスティック回帰分析を行った。
結果は、自覚的健康度には女性では個人的な関係、男性では不信による影響があり、男女とも健康不満足度および自覚症状は不安により悪化し、不安は自覚的健康度に強く影響を与えると考えられた。また、女性では経済状態や迷信を気にすること、男性では宗教や精神的なものへの関心が健康と関係があることを明らかにした。
 考察としては、ソーシャル・キャピタルの内容は国やコミュニティより異なるので、
今回使用した指標がそのまま日本にあてはまるとは限らず、継続した調査とデータの蓄積が必要であるとした。また、欧米のスピリチュアリティや宗教心などの概念は日本にそのまま馴染むものではないことから、医療に欧米の概念(スピリチュアルケア、ホスピス、告知、臓器
移植)を用いる場合は慎重に行うべきであるとした。
さらに、今回の調査の特徴である大規模標本調査における個別聴取法では、若年層の回収率が低いことなども留意し、結果を分析する際は実質的な相違であるか一般的回答傾向の差異で
あるかを考慮すべきとした。
日本人の健康問題を捉えていくために尺度の安定性や、政治、経済、治安などの要因との
連関、時系列比較や国際比較を踏まえソーシャル・キャピタルや社会心理的因子の評価指標を開発し、公衆衛生からの介入を含め健康政策立案に寄与することを今後の課題としている。