平成41992)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

4−共研−63

専門分類

7

研究課題名

小児肥満に対する居住環境の検討

フリガナ

代表者氏名

トヨカワ ヒロユキ

豊川 裕之

ローマ字

所属機関

東邦大学

所属部局

医学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

成人病リスクの一つに数えられている肥満は、現在最も深刻な問題となっている。さらに肥満は低年齢化しており、特に小児期における肥満は、成人での肥満に移行しやすいことからも大きな問題となっている。また、小児の肥満は生活習慣による影響が特に大きいとされている。そこで本研究では、生活習慣が異なる大都市と農村の小児の肥満について総合的に検討する。


【緒言】 肥満の促進要因としては、様々なものが考えられている。中でも寄与が大きいとされているのは、生活習慣等の日常生活に起因する要因である。本研究では、これらの要因のうちで、都市部や農村部といった対象者の居住地・居住環境による影響について検討を試みた。
【対象と方法】 本報告で用いた対象は、横浜市南区(大都市:以下「横浜」と略)、栃木県真岡市(都市近郊農村:以下「真岡」)、長野県上伊那郡長谷村(農山村:以下「長谷」)に居住する小学生(4〜6年生)を用いた。各地区別の対象数は横浜235(男125,女110)真岡338(男171,女167))、長谷73(男41, 女32)であった。身長、体重、皮下脂肪厚を測定し、皮下脂肪厚の測定には、Aモード式超音波皮脂厚計を用い、上腕前部、上腕後部、肩胛骨下角部、腸骨稜上部、大腿前部、下腿後部の6部位を測定した。
【結果と考察】 平成2年度の文部省学校保健統計調査報告の性別・年齢別・身長別体重を標準体重とした場合の標準体重比が1.2を越える者の出現率は、横浜15.3%、真岡12.6%、長谷5.6%であり、明らかに地域差が認められた。
皮下脂肪厚では、四肢部(上腕前・後部,大腿前部,下腿後部)では、女児では3地区の間に有意な差は見られなかったが、男児では他の2地区に比べ、横浜が有意に厚くなっており、この傾向は学年が進むに連れて増大していた。他方、体幹部においては、地区間に差は見られなかった。
今回の調査で対象となった小学校の学童はそれぞれの学区における特徴を持っており、横浜は、商店を営む家庭の多い学区の児童であり、小学校への通学距離も短い。真岡は都市近郊の農村地域であり、長谷は典型的な山村である。この2地区の場合、学校への通学時間も長く、食物の入手も容易とはいい難い。この様な学童を取り巻く居住環境の相違が、食習慣や運動習慣を含む生活習慣にも大きく影響を及ぼしていることが示唆され、とりもなおさず小児の肥満に影響を与えていることが示された。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

城川美佳,小学生の皮下脂肪厚値の地域性についての検討,第57回日本民族衛生学会総会,1992.11.12〜13.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

1.調査対象としては、大都市(横浜市)および農村(長野県伊那群)の小学生を対象とし、Aモード式超音波皮下脂肪厚計を用いて身体各部の皮下脂肪厚を測定する。
2.対象児童の生活習慣(起床・就寝時刻、運動状況、放課後の生活内容、間食の量および内容、家族の肥満状況、親の職業等)について質問紙調査を行う。
3.以上の関連について検討する。なお、対象数が多く(約2,000名)、変数が多く、交絡要因の存在が確実であるため分析は複雑であり、統計数理研究所のスタッフの協力なしでは不可能である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

城川 美佳

東邦大学

駒澤 勉

統計数理研究所

高柳 満喜子

東邦大学

中谷 弥栄子

東邦大学

西川 浩昭

筑波大学