平成71995)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

7−共研−82

専門分類

7

研究課題名

疫学的研究における食物摂取状況の定量的把握方法に関する研究

フリガナ

代表者氏名

マツムラ ヤスヒロ

松村 康弘

ローマ字

所属機関

厚生省国立健康・栄養研究所

所属部局

成人健康・栄養部

職  名

室長

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

予防医学的観点から,ライフスタイルと健康に関する疫学的研究が種々進展しており,ライフスタイルの中でも食生活の重要性が指摘されている。しかし,コホート研究において食物摂取状況を定量的に把握している研究はまれである。本研究では,特定地域における住民の食物摂取状況を定量的かつ簡便に把握し,疫学的研究に対して有用となる方法の開発及び該当方法を用いるためのコンピュータ・プログラム・システムの開発を目的とする。


疫学研究における食物摂取調査法として食物摂取頻度法がよく用いられてきているが、その調査法の信頼性を明示することは疫学研究成果を評価する際の重要な情報となる。
あるコホートにおいて、食事の実態把握を行うために、半定量食物摂取頻度調査の質問票を作成している。この質問票を用いて、O県S市の住民103名を対象として、1993〜1994年の間に1回目の調査を行い、さらに1995年4月に酒を除いた食生活に関する調査を行っている。本研究では、この2つの調査の間における再現性、すなわち本コホート調査で用いられている半定量食物摂取頻度調査法の信頼性の検討を行うことを目的とした。
摂取頻度の信頼性に関する男女間差はいくつかの食物で認められるものの、これといった規則性を見いだすことはできなかった。それよりも、むしろ年齢間差が顕著に認められ、高齢者になるほど信頼性の低下が認められた。すなわち、高齢者ほど食物摂取頻度の質問に対する回答の変動が大きく、その要因は記憶想起の困難性などのような、食事の変化以外のものであることが考えられる。このことについては、今後さらに検討する必要があると考えられる。
味の嗜好に対する信頼性は概ね良好であったが、ここでも高齢になるにしたがい、信頼性の低下傾向が認められた。嗜好自体の変化も考えられるものの、高齢者ほど嗜好の変化が大きいとは考えにくく、嗜好に対する質問の仕方や、対象者特性を十分に考慮した質問づくりの必要性が示唆された。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

松村康弘、佐藤俊哉、高木廣文、国吉幹夫、垣本斉、中野赳:南勢町における循環器疾患
コホート研究(第1報)研究の概要、日本公衆衛生学会、1995年10月13日
垣本斉、中野赳、国吉幹夫、佐藤俊哉、高木廣文、松村康弘、吉武裕:南勢町コホートに
おけるベースラインデータ、日本公衆衛生学会、1995年10月13日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

食物摂取状況を定量的に把握する方法としては,食物秤量法,想い出し法などがあるが,これらの方法には調査者間の偏り,多大な費用,被調査者に対する多大な負担などの理由から,多人数を対象とする疫学的調査には適用できない欠点がある。したがって,多人数を対象としたコホート研究等においては,食物摂取状況を定量的に把握した調査はまれである。本研究は,三重県度合郡南勢町在住の健常者を対象としたコホート研究において,コホートの内から無作為に抽出した人達の食物摂取調査を1週間にわたって行い,その集計を終え,その結果をもとにして,簡便で,かつ定量的把握が可能な調査票の開発を行っている。平成7年度は,開発した調査票の信頼性,妥当性の評価を季節変動の観点から評価を行う。そのためには,近年の生物統計学の知見が必要とされ,統計数理研究所との共同研究の必要性がある。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

佐藤 俊哉

統計数理研究所

高木 廣文

統計数理研究所