平成202008)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

20−共研−2037

分野分類

統計数理研究所内分野分類

e

主要研究分野分類

7

研究課題名

公立病院における医師の充足状況と医療サービス供給の効率性に関する研究

フリガナ

代表者氏名

サノ ヒロシ

佐野 洋史

ローマ字

HIROSHI SANO

所属機関

財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構

所属部局

研究部

職  名

研究員

配分経費

研究費

40千円

旅 費

60千円

研究参加者数

3 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

現在、わが国の公立病院には医師の確保及び経営の効率化が喫緊の課題であるが、病院の医師の充足状況と効率性との関係性はこれまで明らかにされていない。そこで、本研究では、公立病院における医療サービス生産の技術効率性を測定し、医師充足率との関係を分析した。更に、各病院の医師が診療可能な1日当たり入院患者数を推計し、医療法による医師の配置標準の妥当性を検討した。
データには平成15〜17年度の地方公営企業年鑑を用い、確率フロンティア分析により病院の技術効率性を測定した。技術効率性の推定モデルには、アウトプット(生産物)に1日当たり一般病床入院患者数、インプット(生産要素)に医師数、看護師数、一般病床数、その他投入財等のデータを用い、更に病院の立地条件や患者の重症度を補正するための制御変数を加えた確率生産フロンティア関数を採用した。医師充足率は、医療法の人員配置標準に基づき算出した。
分析した結果、医師充足率が高い病院ほど技術効率性が高いという関係はみられず、医師充足率が医療法の配置標準を満たさない(100%未満の)病院であっても、技術効率性が高い病院が多数存在し、更に医師充足率が70%以下であり診療報酬が減額される病院においても、技術効率性が高い病院が多数確認された。また、各公立病院の医師が1日に診療可能な一般病床入院患者数の推計値は、医療法に定められた医師1人当たり一般病床入院患者数(16人)とかなり異なり、病院間でばらつきがみられた。
 医師充足率の低い公立病院はへき地等非都市部に多く、昨今医師確保が非常に困難な状況にある。公立病院の経営効率化を図るためには、少数の医師でも効率的に医療サービスを提供している病院については診療報酬の減額措置を見直す必要があると考えられる。また、病院における医師の配置は、現行の医療法のようにどのような病院に対しても同一の水準で評価するのではなく、個々の病院の医療提供体制、患者特性、地域特性等の違いに応じて検討する必要があると考えられる。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

学会発表
佐野洋史、「公立病院における医師の充足状況と医療サービス生産の効率性」、
第46回日本医療・病院管理学会学術総会、静岡県立大学、2008年11月. 

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

特になし

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

河村 敏彦

統計数理研究所

松本 渉

統計数理研究所