平成262014)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

26−共研−2013

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

4

研究課題名

台風発生種サンプリング手法の開発

フリガナ

代表者氏名

スズキ カズエ

鈴木 香寿恵

ローマ字

Suzuki Kazue

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ同化研究開発センター

職  名

特任研究員

配分経費

研究費

40千円

旅 費

1千円

研究参加者数

4 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

気候モデルによって予測された将来気候における稀だが人間生活への影響の大きな事象として、台風が人口の集中する大都市圏へ到来する確率を導くことが本研究の最終目的である。しかしながら、気候モデルによる計算結果内に発生する台風の数だけでは確率分布を抽出するための十分なサンプル数が得られない。
 そのため、様々な手法によって人工的に台風を発生させ(確率台風モデル)、その人工トラックを用いた台風の確率分布に関する研究が進められてきた。しかしながら、気候モデル自体にモデルバイアスが存在することから、将来気候におけるGCMの出力結果についてもバイアスがあると想定されている。
 Emanuel et al. (2004, 2006) では、台風の発生個数や場所は海面水温の分布に影響を受けることに言及している。これをふまえEmanuel et al. (2006, 2008) では、GPI(台風発生確率指数)による台風発生種のサンプリングを行っている。台風発生種とは、台風の初期状態、つまり小さな渦のことである。このGPIは、現在気候における台風の発生をよく再現できるといわれている。しかし、将来気候下では先に述べたようにモデル自体のバイアスと台風の再現におけるバイアスがそれぞれあるため、十分に表現することが出来ていない現状である。
 以上から、気候モデルのバイアス補正も行うことの可能な台風発生種のサンプリング手法の開発を行うことを目的とする。
 H26年度では海水面温度の分布と緯度の関係に着目した台風発生種の推定モデルを考案した。しかしながら、2変数では十分なサンプル数が得られず、多変量を扱う方向となった。台風の発生に関わる環境変数として、風の鉛直シアを客観解析気象データを用いて算出し、変数として追加することとなった。次年度以降に変数を追加した台風発生種モデルの開発を進めていく予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Kazue Suzuki, Nakano Shinya and Genta Ueno: Statistical Modeling of Tropical Cyclones, Regional Climate Modeling team meeting, National Center for Atmospheric Research, Denver, U.S.A., 2014 SEP.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

台風種生成モデルの検討および台風経路の経年変化について研究打合せ、2014年7月9日-10日、琉球大学、4名
台風種生成モデルの検討および台風経路の経年変化について研究打合せ、2014年8月20日、JAMSTEC 研究交流棟、2名
台風種生成モデルの検討および台風経路の経年変化について研究打合せ、2015年2月23日-24日、理化学研究所計算科学研究機構、3名

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊藤 耕介

琉球大学

上野 玄太

統計数理研究所

中野 慎也

統計数理研究所