平成20（2008）年度　重点型研究実施報告書

課題番号	20−共研−4302		分野分類			統計数理研究所内分野分類			g
						主要研究分野分類			1
研究課題名	確率過程に対する極限定理と統計解析の研究
重点テーマ	確率解析と統計的推測
フリガナ 代表者氏名	ヨシダ　ナカヒロ 吉田　朋広				ローマ字		Yoshida Nakahiro
所属機関	東京大学
所属部局	大学院数理科学研究科数理構造論大講座
職　　名	教授
配分経費	研究費	40千円		旅　費		420千円		研究参加者数		11　人

研究目的と成果（経過）の概要

確率過程に対する統計推測理論の研究を行うために必要な極限定理の研究と統計推測への応用に関して研究を進めた．
栗木は最大値分布とオイラー標数法，QTL解析の統計モデルと検定の多重性調整について研究した．西山は確率過程のZ推定および計数過程について研究した．清水はジャンプ型過程の推定および保険数理の研究を行った．Iacus, 内田，吉田はデータの欠測のある確率過程の推定問題を研究し，ボラティリティの変化点問題において混合型両側ウイナー確率場で決まる極限への統計量の収束を示した．
このほか，多項式型大偏差不等式の理論の応用として，離散観測ジャンプつき確率微分方程式に対する疑似尤度解析（最尤型推定量，ベイズ型推定量の漸近挙動，尤度比確率場の裾評価および統計量のモーメント収束）を与えた．極限が混合正規型の場合の漸近展開を与え，ボラティリティ推定問題への応用を研究した．
林，吉田は非同期共分散推定量の極限分布に関して研究を行った．従属性のあるサンプリングスキームに対して，HY推定量の漸近混合正規性に関して結果をまとめた．
研究集会Stochastic　Analysis and Statistical Inference III，IVを開催し，情報交換を行った．

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

Kuriki Satoshi and Takemura Akimichi: Euler characteristic heuristic for approximating the distribution of the largest eigenvalue of an orthogonally invariant random matrix.
J. Statist. Plann. Inference, Vol. 138, 3357-3378, 2008

栗木哲:「QTL解析の統計モデルと検定の多重性調整」21世紀の統計科学, II (小西貞則, 国友直人 編), 東京大学出版会, 315-356, 2008

Nishiyama, Y.: Asymptotic theory of semiparametric Z-estimators for stochastic processes, with applications to ergodic diffusions and time series. To appear in Ann. Statist.

Nishiyama, Y.: Two sample test for counting processes with a non-linear covariate. Research Memorandum 1071

Shimizu, Y.: A new aspect of a risk process and its statistical inference, Insurance: Math. and Econom., 2009, 44, no.1, 70-77.

Shimizu, Y.: Model selection for Levy measures in diffusion processes with jumps from discrete observations, J. Statist. Plann. Inference, 2009, 139, no.2, 516-532.

S. Iacus, M. Uchida and N. Yoshida: Parametric estimation for partially hidden diffusion processes sampled at discrete times", Stochastic Processes and their Applications, 119, (2009) 1580−1600

T. Hayashi and N. Yoshida: Asymptotic normality of a covariance estimator for nonsynchronously observed diffusion processes", Annals of the Institute of Statistical Mathematics, 60, (2008) 367-406

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

Stochastic　Analysis and Statistical Inference III
日時　２００８年１１月２６日（水）〜２７日（木)
場所 ：東京大学大学院数理科学研究科１２３教室
海外４名、国内１６名，計２０名

Stochastic　Analysis and Statistical Inference IV
日時　２００９年２月１８日（水）〜１９日（木)
場所 ：東京大学大学院数理科学研究科１２３教室
海外４名、国内１６名，計２０名

研究参加者一覧
氏名	所属機関
内田　雅之	大阪大学
栗木　哲	統計数理研究所
阪本　雄二	神戸大学
清水　泰隆	大阪大学
志村　隆彰	統計数理研究所
西山　陽一	統計数理研究所
服部　聡	久留米大学
林　高樹	慶應義塾大学
深澤　正彰	大阪大学
増田　弘毅	九州大学