平成21990)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

2−共研−3

専門分類

1

研究課題名

多変量非正規モデルにおける各種統計解析手法の研究

フリガナ

代表者氏名

コニシ サダノリ

小西 貞則

ローマ字

所属機関

九州大学

所属部局

大学院数理学研究科

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

10 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

平成元年度共同研究(共研−3)の研究成果をふまえ,これを継続・発展させると共に,派生した新しい諸問題の解決に取り組む。特に,各種分析手法の基本となる推定量の構成とその統計的誤差の評価,ブートストラップ法,ジャックナイフ法,交差検証法などの統計的リサンプリング法の理論的・実験的側面の研究,多変量解析における各種分析手法の適用に際しての安定性・信頼性の評価等の研究を中心として行い,開発した手法は実際問題へ適用してその有効性の検証を行い,有用な統計手法を開発することを目的とする。


多変量統計解析における各種分析手法の適用に際しては,通常,母集団から抽出された互いに独立な観測値に基づいて構成される,ある種の確率行列の分解が基本となる。しかし,医学,疫学,遺伝学等の分野に於いては,統計的独立性の仮定が満たされないデータに基づく分析をしばしば必要とする。その一例が,遺伝の生物統計学的な研究にみられる,一般に親とその不特定多数の子(同胞)からなる一つの家族を単位として観測されるデータである。家族間の独立性は仮定できても,家族内のデータの間には,通常強い相関がある場合が多い。
このようなデータを家族データ(Familial Data)と呼び,また,各個体がいくつかの特性に関して特徴付けられた多変量データとして観測されるとき,これを多変量家族データ(Multivariate Familial Data)と呼ぶ。ここでは,何組かの多変量家族データに基づいて,種々の家族内特性を探るための統計手法開発を目的として研究を行った。
本年度は特に,多変量家族データに基づく主成分分析について研究を行ない,次のような結果をえた。
(i)分散共分散行列の一般化推定量に基づいて,主成分およびその分散の推定方法を提示した。
(ii)母集団の変動を捉える確率分布モデルとして,多変量正規分布,Elliptical分布を仮定し,構成した確率行列の固有値,固有ベクトルに対する区間推定法を提唱した。
(iii)主成分分析法の主たる目的の一つである次元縮小に関して,寄与率,累積寄与率,固有値の比推定量等の分布を導出した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Konishi,S.and Khatri,C.G.(1990).
Inferences on interclass and intraclass correlations in multivariate familial data.Annals of the Institute of Statistical Mathematics,Vol.42,No.3,pp.561−580.
Konishi,S.and Honda,M.(1990).
Comparison of procedures for estimation of error rates in discriminant analysis under nonnormal populations.Journal of Statistical Computation and Simulation,Vol.36,No.2,pp.105−115.
小西貞則(1990).
ブートストラップ法と信頼区間の構成。応用統計学,第19巻,頁137−162。


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

上記研究目的にそって問題解決に取り組み,統計解析手法の開発と研究を理論的・実験的側面の両面にわたって行う。そのため研究を実施するに当っては,(i)関連研究の資料と情報の収集,(ii)多変量解析の研究上必要とされる数式処理システムの機能の整理と拡充,(iii)ブートストラップ法,ジャックナイフ法,交差検証法に代表されるノンパラメトリックな手法に関する研究と計算機を用いた検証,(iv)研究成果の適用範囲の拡大の可能性と実際問題への適用に際して有用性の検討,特に,周辺領域の研究者との交流を通して,医学データ,生物資源データ等各種データへの適用を試み,解析手法の安定性,信頼性の評価,などの研究を効率よく行うことが必要となる。そこで,この研究実施計画にそって,関連する分野の研究者を集め,互いにアイデアを交換し,また分担協力することによって研究を推進する共同研究として実施する必要がある。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

鎌倉 稔成

中央大学

塩谷 實

明星大学

瀬尾 隆

東京理科大学

中村 忠

島根大学

仁木 直人

東京理科大学

西井 龍映

広島大学

早川 毅

一橋大学

本多 正幸

千葉大学

渡辺 美智子

東洋大学