平成202008)年度 若手短期集中型研究実施報告書

 

課題番号

20−共研−3002

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

5

研究課題名

時系列解析による船舶の復原力変動の推定

フリガナ

代表者氏名

テラダ ダイスケ

寺田 大介

ローマ字

Daisuke Terada

所属機関

広島商船高等専門学校

所属部局

商船学科

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

38千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究では、復原力変動に影響を及ぼす動揺パラメータの推定問題を自己組織型状態空間(SOSS)モデルの状態推定問題として取り扱い、船体動揺の時系列データから動揺パラメータを直接推定する方法を提案する。具体的には、先ず、船舶の線形横揺れ運動方程式を連続型自己回帰(CAR)モデルに変換する。次いで、同モデルを離散化して状態空間モデルで表現し、状態とパラメータを同時に推定するために、状態空間モデルをSOSSモデルに拡張する。この場合において、推定すべき動揺パラメータは、SOSSモデルにおける状態ベクトルの要素であることから、状態推定によって直接推定することが可能になる。また、このときSOSSモデルは非線形となるため、状態推定には非線形・非ガウス型時系列のフィルタリングに有効な粒子フィルタを用いることを提案する。粒子フィルタによる状態推定の有効性は、数値計算で求めたRollの時系列データによる数値実験を通して、拡張カルマンフィルタによる状態推定の結果との比較に基づいて検証した。最後に、提案する動揺パラメータの直接推定法の実用性に関して、実船実験データに基づいて検証した。両実験の結果から、以下のような知見が得られた。
(1)有色雑音である波浪外力を高階微分によって白色化する方法は、パラメータ推定における推定精度の向上に対して効果がある。すなわち、種々のモデル次数に対して状態推定を行い、その結果得られる尤度を用いればMAICE法によって統計的に最も良いCARモデルの次数が選択される。
(2)数値実験の結果に基づけば、非線形状態空間モデルであるSOSSモデルの状態推定の方法としては、MCFによる状態推定法が、拡張カルマンフィルタによる状態推定法と比較して、高い推定能力を有していることが分かり、有効であることが示された。
(3)実船実験の結果では、模型船実験に基づく推定値と若干異なるものの、各実験ケースとも略同程度の値が推定できた。このことから、模型船実験が実施できない場合においても、提案する方法を用いて実船の動揺の時系列データから概略の動揺パラメータを推定できる。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会発表
論文名 :時系列解析による動揺パラメータの直接推定法
− 一自由度モデルによる検証 −
著者名 :寺田大介,北川源四郎
研究会名:日本船舶海洋工学会・運動性能研究会
発表日 :平成21年1月29日

論文発表
論文名:時系列解析による動揺パラメータの直接推定法(第一報)
− 一自由度モデルによる検証 −
著者名:寺田大介,北川源四郎
投稿先:日本船舶海洋工学会論文集
投稿日:平成21年4月16日(査読中)

学会発表
論文名:時系列解析による動揺パラメータの直接推定法
− 一自由度モデルによる検証 −
著者名:寺田大介,北川源四郎
学会名:日本船舶海洋工学会春季講演会(平成21年5月28日,29日)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

北川 源四郎

統計数理研究所