平成142002)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

14−共研−1014

専門分類

7

研究課題名

含歯性嚢胞と良性腫瘍との鑑別点についての研究

フリガナ

代表者氏名

イケシマ アツシ

池島 厚

ローマ字

Ikeshima Atsushi

所属機関

日本大学

所属部局

松戸歯学部放射線学教室

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

X線写真において極めて類似した疾患の一つに含歯性嚢胞と含歯性の良性腫瘍との鑑別が存在する。これら
は埋伏歯の歯冠を含んだ嚢胞様透過像としてX線写真に出現する特徴がある。一見しただけでは判別できない
が、前者は嚢胞、後者は良性腫瘍であり、以前Abramsが指摘しているようにこの両者の歯根部に付着する位
置の違いに気づかれよう。
 このような違いに着目して、実験計画を検討した結果、研究資料として1976〜1990年の間に日本大学松戸
歯学部付属歯科病院を受診した患者で、病理組織学的に診断の確定した含歯性嚢胞として濾胞性歯嚢胞と歯原
性角化嚢胞を合わせて100症例、また含歯性の良性腫瘍としてエナメル上皮腫と腺様歯原性腫瘍を合わせて
27症例を抽出した。これら127症例はすべて埋伏歯が関連しており、これらのX線写真をトレースして、こ
れら嚢胞や腫瘍の埋伏歯における付着部位からセメントエナメル境までの距離を測定した。この距離を歯根長
に対する比で表現し、データーとした。
 これらのデーターを嚢胞群と良性腫瘍群に分類し、その分布を検討した結果、最尤法で推定した。ここで得
られた推定平均値と推定分散値とから判別分析を施工した。
 その結果、この両者は0.4を境として分類できることが判明した。この結果は今後臨床において両者の鑑別
点の一つとして応用してゆく方針である。
 また今後、埋伏歯の付着部位の違いだけではなく、その他にも発生年齢や発生部位、X線写真における面積
等のデーターが得られるので、それらの多変量解析にも応用してゆく方針である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文発表
 Atsushi Ikeshima,Yoshiyasu Tamura:Differential diagnosis between dentigerous cyst and
benign tumor with an embedded tooth,J Oral Science,44(1):13-17,2002
学会発表
 池島 厚,田村義保:含歯性嚢胞と含歯性の良性腫瘍との鑑別点について,日本歯科放射線学会
関東地方会,2000年11月18日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

田村 義保

統計数理研究所