平成272015)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

27−共研−1006

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

7

研究課題名

高頻度金融データにおける日内季節変動の統計解析

フリガナ

代表者氏名

ヨシダ ヤスシ

吉田 靖

ローマ字

Yoshida Yasushi

所属機関

東京経済大学

所属部局

経営学部

職  名

教授

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 取引所は、流動性を提供すると同時に、価格発見機能を通じて効率的な資源配分を可能にすることにより経済厚生の向上に寄与する社会的インフラである。近年、取引所に対する投資家のニーズは、高度化・複雑化が著しく、取引システムの安定性、高速性、取引時間の延長から、決済制度、法的な規制の改善まで多岐に亘っており、グローバルな取引所間の競争も激しくなっている中で、取引所機能の強化は国全体の競争力向上にも繋がる重要な課題である。このような背景から、本研究は高頻度の取引データを対象に統計解析を行うことによりその変動の特性を解明し、取引所システムの向上に資することを目的とする。
特に5分間隔の取引データやティックデータを取り扱うには、昼休みや夜間などの取引のない時間帯に関する調整が必要で、学術的な研究はこれまでのところHansen and Lunde(2005)などの方法が用いられている。
しかしながら、例えば、日中の時間帯によるボラティリティや流動性の変動パターンや、情報量の影響、他市場の変動による影響などを同時に調整して分析・予測する試みは少ない。特に日本の市場に関しては、取引時間帯自体の制度変更が長年の課題になっている中で、デリバティブ市場での取引時間帯の延長が先行して大幅に進んでいることと、さらに、上場企業による情報開示は現物市場の取引が終了する午後3時に公表されるものが多く、昼休み時間には中国株の変動、夜間には欧米株の変動など、取引時間外に投資家が重要な情報を入手する機会が多いことなどの影響を計測することが必要になっている。
前述の目的に加えて、これらの分析によりファイナンスリスクの分析・評価を進展させることも目的とする。
 昨年度に引き続き、日経平均先物および東京商品取引所の金先物の取引データに対して、5分毎のデータをレベル1、日次のデータをレベル2とするマルチレベル分析を行った。その中で、収束が困難となるような例が存在することが示されたが、原因を引き続き調査した。また、約定頻度による分析の他に、気配値による売買スプレッドと、最良売り気配と最良買い気配の注文枚数から算出されるデプスの日内変動に関して、東京商品取引所の金先物、白金先物、ガソリン先物、ゴム先物を対象に、分析を行った。
 また、日経平均先物については、高頻度のリターンデータに関する分析も行った。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

日経225先物はジャンプしているか?、先物・オプションレポート、日本取引所、2015年
コモディティ市場のマイクロストラクチャー「金融商品化」時代の規制と市場機能、第4章 商品先物の気配データによる流動性分析、中央経済社、2016年

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

川崎 能典

統計数理研究所