平成302018)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

30−共研−2003

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

2

研究課題名

連続型疑似乱数の局所一様性の研究

フリガナ

代表者氏名

ナカムラ ナガトモ

中村 永友

ローマ字

Nakamura Nagatomo

所属機関

札幌学院大学

所属部局

経済学部

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

68千円

研究参加者数

3 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

【研究の目的】
 大規模なシミュレーションを行う際に,特定の確率分布にしたがう乱数を超大量に生成するには,質の良い一様乱数をいかに入手することが話題の中心であった.物理乱数が使えない環境では,長周期の疑似一様乱数(メルセンヌ=ツイスター法等)が R をはじめとする,かなり多くの数値計算が可能な環境で用いることができるようになった.一様乱数から特定の確率分布にしたがう乱数を得るためには,種々の方法があり,正規乱数を生成する方法は Box=Muller 法が標準的である.しかし,超多数個を高速に生成する方法として,目的の確率分布を近似した離散型確率分布にしたがう乱数を通して,目的の疑似乱数を生成する方法を提案した(Nakamura, 2015; 中村・土屋, 2015,2016).この方法は少なくとも Box=Muller 法よりも演算回数が少なく,同時に高速な方法である.この方法の理論的背景を証明するために,次の命題を提示した.

[命題]:連続型確率分布にしたがうどんな乱数も,微小な区間においては,ある一定条件下で一様分布と見なせる.

この逆の発想から,次の手順で連続型の疑似乱数を生成することができる.(1)目的の連続型確率分布を近似した離散確率分布を用意する,(2)離散確率分布の各ビンの微小区間内で,その確率に比例した個数の一様乱数を生成する.この方法によって全体としては目的の連続型確率分布に従う疑似乱数が得られる.この方法で生成された乱数は工学的には十分耐えうることが数値実験で示されているが,さらに詳細な条件を加味しながら実用上適用可能な条件を提示することと共に,本研究の最終的な目的は[命題]の数学的な証明である.

【研究の成果】
今年度,局所一様性の命題の証明のための材料を模索したが,明快な方法を提示することはできなかった.しかし本研究を通した乱数生成法を使って下記の研究と論文を提示することができた.


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

2018年度(平成30年度)において,本研究テーマに関係する成果としてしては,以下のとおりである.

中村永友・土屋高宏 (2019). 一変量確率分布における複峰性とクラスター分割基準, 札幌学院大学 総合研究所紀要(Proceedings of the Research institute of Sapporo Gakuin University), Vol.6, 1-6, 2019.3.

中村永友, 土屋高宏, 欠番のあるデータの並べ替えアルゴリズムに現れる離散型確率分布, 日本計算機統計学会 第32回大会, 山口大学, 山口市, 2018.05.26-27.


前者の論文は,クラスター分割基準を考察した論文であるが,その際に本研究で提案している一様乱数の生成法の基づいた手法を用いた.後者は,局所一様性の証明をするための前段として離散型確率分布と連続分布の接点を探った.研究全体としては,「命題」の数学的証明にはまだ至っていないため,引き続き2019年度も研究を行う予定である.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究集会は開催していない.

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上野 玄太

統計数理研究所

土屋 高宏

城西大学