平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−84

専門分類

7

研究課題名

ミンククジラの系群識別のための多変量解析手法の適用に関する研究

フリガナ

代表者氏名

ナカムラ タカシ

中村 隆

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

鯨類捕獲調査で採集したミンククジラには1つ以上の系群が含まれていることが遺伝学的な解析により示唆されている。一方、近年の分類学の判断基準は、遺伝学的な情報に加えて、これまで基本とされてきた骨学や形態態学的情報などを総合的に検討して判断する必要のあることが指摘されている。そこで、ミンククジラの外部形態及び骨格計測データに対して、主成分・判別分析などの多変量解析の手法を適用し、ミンククジラの系群識別を形態学的、骨学的側面から検討する。


捕獲調査で収集したミンククジラの外部形態の計測データを用いて、南半球の矮小型と普通型及び北太平洋型の3型による差異を検討した。
これまでに、21ヶ所の外部形態部位の計測データを用いて、体長を共変量とした共分散分析を行い、型による差異を雌雄別に解析した結果、雌個体では14の計測部位が、また雄個体では12部位が体長を共変量として有意に変動しており、ミンククジラの型の間で有為な差が認められている。
また、同調査で収集した南半球の2型(矮小型及び普通型)と北太平洋型、文献値による北大西洋型について、ミンククジラの型による頭骨の形態を検討した。解析には頭骨及び下顎骨の76ヶ所の計測データを用い、頭骨長を共変量としてとして共分散分析を行った。
その結果、76部位のうち57部位において、頭骨長を共変量として有意に変動していることを示し、さらに、39部位はミンククジラの型の間で有為な違いのある事が示唆された。
しかしながら、小標本数のため、性による差異を検討していないことや北大西洋型では他の型に比べて計測箇所が少なく、十分な比較が困難であることなど未検討事項が残されている。
今後、これらを検討した後に、外部形態や頭骨の計測データのうち、性や型による違いを他の多変量解析手法を適用して検討し、ミンククジラの各型間の識別方法について検討する予定である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

[研究内容]北西北太平洋及び南極海のミンククジラの外部形態及び骨格計測データに対して、成長に伴う体サイズ等の変動を考慮した主成分・判別分析を適用し、採集日及び採集海域等により分けたグループ(時空間グループ)の間での差異を検討する。さらに遺伝学的な解析から示唆されている結果との比較を行い、形態学的及び骨学的側面からのミンククジラの系群識別への有効性を検討する。また、外部形態計測データ及び骨格計測データに対して種々の多変量解析の手法を適用し、体長に伴って変動するようなデータを用いる場合の解析の方法論を確立する。[共同研究の必要性]統計数理研究所には、判別分析を含めた多変量解析に関する情報が豊富であること、また使用する外部形態計測データについては統計数理研研究所側の共同研究者も鯨類捕獲調査への協力を通じて知識があることから、共同研究によって、このようなデータに対する解析の手法の確立と発展が期待できる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊藤 俊輔

(財)日本鯨類研究所

加藤 秀弘

水産庁 遠洋水産研究所

銭谷 亮子

(財)日本鯨類研究所

藤瀬 良弘

(財)日本鯨類研究所