平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−71

専門分類

7

研究課題名

化学性呼吸調節系の統計数理学的研究

フリガナ

代表者氏名

オク ヨシタカ

越久 仁敬

ローマ字

所属機関

京都大学

所属部局

胸部疾患研究所

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

呼吸中枢のニューロン機構を統計数理学および非線形力学を用いて解明するプロジェクトの5年目である。本年は、炭酸ガス換気応答における1)末梢化学受容器の影響、2)神経機械性フィードバックの影響を多次元自己回帰モデルを用いて解明することを目的とする。


肺・胸郭系の機械的特性の変化に対する呼吸中枢出力(Caut)の応答が、 CautがPaCO2の設定値からのずれ(△PCO2) と呼吸仕事量の最小化という相反する要求の妥協点として決定されているという最適化説(Poon, 1987)によって説明し得るかどうか検討した。除脳・非動化ネコ(n=5)を横隔神経活動(IPhr)によって駆動される人工呼吸器下に管理した。FICO2 0%,3%, 5%, 7%の条件下でr=気道内圧/IPhrを様々に変化させて定常状態での血液ガスを測定した。
次に、Cautと△PCO2をパラメータとするコスト関数を様々なr=分時換気量/Cautにおいて最小化するCaut・PaCO2値を数値解析法により求め、実験データと比較検討した。動物実験では、(1)rがある閾値以下でPaCO2はほぼ一定値に保たれ、(2)rが閾値以下では、IPhrはPaCO2の増加と共に増加し、その関係はFICO2に関らず一定であった。
Poonのコスト関数は結果(2)と一致せず、J = k1・(Caut - k2・△PCO2)^2 + k3・△PCO2で定義されるコスト関数が最も実験結果と一致した。肺・胸郭系の機械的特性の変化に対する呼吸中枢出力の応答は最適化説と矛盾しないが、最適化の評価関数としてPoonのコスト関数は不適当である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Y.Oku:The application of ARX model to ventilatory control system.System
characterization,prediction.In:Bioengineering Approaches to Pulmonary
Physiology & Medicine,ed.M.C.K.Khoo,Plenum,New York,1996,pp.51-63.
越久仁敬、室繁郎、三嶋理晃、大井元晴、久野健志:呼吸中枢出力最適化説の検討。
第36回日本胸部疾患学会総会、平成8年4月4日、宇都宮。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

1)健常人において低酸素下・高酸素下および正常酸素濃度下において炭酸ガス濃度をランダムに変化させた混合ガスを吸入させたときの換気量・呼気終末炭酸ガス濃度の変化を観測し、多次元自己回帰モデルにあてはめて、末梢化学受容器の影響を分離できるかどうかを検討する。2)除脳動物において、横隔神経活動に比例した換気を行う横隔神経駆動型人工呼吸器を用いて人工換気を行い、神経活動に対する換気の利得を様々に変化させて、横隔神経活動・呼気終末炭酸ガス濃度の変化を観測し、多次元自己回帰モデルにあてはめて、化学性呼吸調節系に対する神経機械性フィードバックの影響を検討する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

田村 義保

統計数理研究所