平成222010)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

22−共研−2009

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

4

研究課題名

多種類の遠隔観測データを用いた電離圏電子密度トモグラフィー(2)

フリガナ

代表者氏名

ウエノ ゲンタ

上野 玄太

ローマ字

Genta Ueno

所属機関

統計数理研究所

所属部局

モデリング研究系

職  名

准教授

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 電波および光を用いた多種類の遠隔観測によって得られる積分量から、電離圏内の電子密度の3次元分布とその時間発展をトモグラフィーにより推定する事を目的とした研究である。
 高度100km から1,000kmにかけて広がる電離圏における電子密度の積分量を測定する遠隔観測は、視線方向の距離を分解する必要がないため、信号の受信だけで測定可能であり、非常に容易である。そのため、様々な観測手法で大量の観測データが取得されつつある。本研究では、先行研究で開発したGPSデータを用いた電離圏・プラズマ圏電子密度トモグラフィーの手法を応用して、多種類の遠隔観測による積分値観測データから電離圏内の電子密度の3次元分布とその時間発展の推定を行った。

 特に本年度は、ヨーロッパ域及びアメリカ域におけるデータを用いたトモグラフィー手法の開発を進めた。これらの地域は、従来開発を進めていた日本周辺地域にくらべて、利用できる観測データ数が少ないにも関わらず観測範囲が広いため、アルゴリズムの変更を行った。さらに、地磁気緯度が日本域より高緯度であるため、磁気圏からのエネルギー入力によって激しい変動をうけており、時間変化、空間変化が大きく、それらを考慮したトモグラフィー手法を開発した。ヨーロッパの高緯度域ではGPS衛星が観測点の直上に到達しないためデータの質が低下するが、その事の考慮も行った。開発したアルゴリズムを用いて地磁気的な静穏時と擾乱時のデータから求めた電子密度分布と人工衛星による直接観測との比較を行い、トモグラフィー手法によって得られた電子密度分布が妥当である事の確認を行った。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

A. Saito, H. Eto, T. Tsugawa and G. Ueno, Ionospheric Tomography with Constrained Least-squares Method using GPS Total Electron Content Data, Asia-Pacific Radio Science Conference, 2010

A. Saito, H. Eto, T. Tsugawa, M. Nishioka and G. Ueno, Ionospheric Tomography using GPS Total Electron Content data with Constrained Least-squares Method, Committee on Space Research (COSPAR), 2010.

江藤 英樹、齊藤 昭則、津川 卓也、上野玄太、GPS全電子数データを用いたトモグラフィ法によるStorm Enhanced Density3次元構造の推定、日本地球惑星科学連合大会, 2010.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

五井 紫

京都大学

齊藤 昭則

京都大学

峰山 大

京都大学