平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−18

専門分類

1

研究課題名

情報量に基づく分布の近似とその誤差評価

フリガナ

代表者氏名

マツナワ タダシ

松縄 規

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

統計基礎研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

情報量に基づく一様近似理論の基礎的な理論を構築することを目的とする。これに関連して、K−L情報量と全変動距離に関連する不等式の検討等を含め、これまでに得てきた結果の 拡張を行う。 特にランダム行列の分布の近似について、代表的多変量分布や多変量指数分布族の一様近似とその誤差評価について考える。


情報量に基づく一様近似理論の基礎理論の研究を行った。これに関連して、K-L情報量と全変動距離に関連する不等式等、これまでに得てきた結果の改善を行い、ランダム行列分布の近似について、代表的多変量分布や多変量指数分布族の一様近似とその誤差について評価した。
特に、多変量指数型分布族に関連する密度関数の一様近似を、近似主領域での修正情報量を用いて定量的に評価した。このために必要となる、修正されたK-L情報量、アフィニティ−、KaganのW-divergenceの評価とそれらに関連したいくつかの有用な不等式を、近似主領域の確率を陽に取り込んだ形で与えた。
一般化した多変量指数分布を考え、そのパラメーターの変化が分布の近似にどのように影響するかを考察した。このことに関して Barron & Sheu (1991) は有界区間上で定義される一次元密度関数について、経験的制約条件の下でK-L情報量最小化法に基づいて考えたが、彼らの問題設定は有限区間に限定されており、また、K-L情報量の適用の仕方に物理的には必ずしも自然ではないものがある。そこで、本研究では、そのような制限と適用を排除し、近似主領域における多変量分布の多変量指数型分布による近似問題として拡張し、情報量の解釈も Kullback (1959) の線に沿って行った。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

・松縄 規、山田 智哉、K-L情報量とルジャンドル変換による多変量密度関数の
近似、日本統計学会、1996年9月9日。
・山田 智哉、松縄 規、多変量指数型分布に関連する分布の一様近似について
科研費シンポジウム「確率分論とその応用の研究」、1997年1月8日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

情報量に基づく分布の近似は統計学において一つの近似方法として利用されてきた。しかし特性関数を用いる方法など、他の様々な方法に比べて必ずしも十分に研究されて来たとは言えない。このため、本研究では近年の情報量の統計的及び数物科学的意味に根ざす議論を考慮して、分布の一様近似について、研究代表者が開発してきた方法を多変量分布の場合に拡張して、定量的な一様近似の誤差評価を行う。本研究は統計学の基本的なモデルである指数分布の近さを、物理的な意味も考慮した一般的な近似理論構築の必要性からの基礎研究である。この研究を通して、関連分野に貢献できる理論の基礎を提案したい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

山田 智哉

総合研究大学院大学大学院