平成192007)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

19−共研−2023

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

3

研究課題名

歯科疾患実態調査データのコウホート分析

フリガナ

代表者氏名

ナカムラ タカシ

中村 隆

ローマ字

NAKAMURA, Takashi

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ科学研究系

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

[研究目的]
厚生労働省「歯科疾患実態調査」は昭和32年から6年ごとに実施されており、最近では第9回調査が平成17年に実施された。調査結果は平成19年2月に公表された。
この全国調査は、齲蝕(むし歯)や歯周病をはじめとする歯科疾患のみならず、近年の8020運動において着目される自己の歯の本数や義歯などの状況、さらには歯磨き習慣、フッ化物塗布状況などわが国の歯科保健に関する貴重な資料を提供してくれている。
我々は、これまでにこの継続調査資料を利用して、ベイズ型コウホートモデルの適用により、日本人における齲蝕の少ない世代の存在や近年話題の齲蝕の減少、さらには歯磨き行動の年齢差など歯科保健に関するいくつかの重要な研究成果を挙げている。
本研究では,これまでに蓄積した8回分の歯科疾患実態調査データベースを基礎資料として、19年に公表された第9回分を追加することにより,ベイズ型コウホートモデルによる,より詳細な分析を実施することを目的とした。
[研究成果]
1. 平成17年歯科疾患実態調査の性・年齢(階級)別の歯科疾患実態調査継続的調査資料を収集追加した。
2. 上記の資料を整理して,データベース化し,性別コウホート表を作成した。
3. コウホート表から,年齢(階級)×調査時点の『等計量線図』を作成し,歯種別DMF歯数について俯瞰的に検討した。
4. 『ベイズ型コウホート分析』を,それぞれのコウホート表に適用し,時代・年齢・コウホートの3効果を分離して検討した。
5. その結果,これまでの分析で明らかにされていた昭和15年前後生まれの齲蝕の少ない世代は60歳台を過ぎて喪失時期に入りその存在はやや不明瞭になりつつあった。一方,昭和50年生まれ以降の若い世代での齲蝕減少の流れは,最も若い世代で下げ止まりの様相を呈していた。
6. 日本人齲蝕の減少傾向は,昭和50年生まれ以降の若い世代で明らかであったことに変わりないが,最近の最も若い世代での齲蝕減少傾向は下げ止まりを見せつつある点は注目に値する。しかし,時代効果の低下はなお継続していると見られるので,日本人全体での減少傾向はしばらく継続するものと考えた。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

[学会発表]
・那須 郁夫, 中村 隆, 堀内 俊孝, 宮崎 至洋, 生田 明敏, 新保 秀樹, 渡邉 寿子 (2007). 歯科疾患実態調査による日本人歯種別DMF歯数のコウホート分析, 平成17年調査資料を加えて, 口腔衛生学会雑誌, 57(4), 439. (第54回日本口腔衛生学会総会, 江戸川区:タワーホール船堀)
本年度の研究に関連するこれまでの研究発表
[論文]
・那須 郁夫, 中村 隆, 森本 基 (1996). 永久歯現在歯のコウホート分析,歯科疾患実態調査資料を用いて, 老年歯科医学, 11(2), 88-99.
・那須 郁夫, 中村 隆, 森本 基 (1996). 歯科疾患実態調査資料による歯磨き回数のコウホート分析, 口腔衛生学会雑誌, 46(3), 306-317.
・那須 郁夫, 森本 基, 中村 隆 (1984). 下顎第1大臼歯齲蝕経験のコウホート分析−歯科疾患実態調査報告資料による−, 口腔衛生学会雑誌, 34(3), 240-247.
[学会発表]
・那須郁夫,中村 隆, 堀内 俊孝,宮崎至洋,生田 明敏, 新保 秀樹,渡邉寿子(2005). 若い世代の齲蝕減少の要因としての歯の萌出遅延,DMF指数と現在歯数のコウホート分析による検討,第54回日本口腔衛生学会総会,品川区:きゅりあん.
・那須 郁夫, 中村 隆, 堀内 俊孝, 生田 明敏, 新保 秀樹, 渡邉 寿子 (2003). 日本人上顎第一大臼歯DMF歯数のコウホート分析, 歯科疾患実態調査による,日本口腔衛生学会, 北九州市:北九州国際会議場,
・那須 郁夫,中村 隆,堀内 俊孝,生田 明敏,新保 秀樹,渡邉 寿子 (2002). 乳歯齲蝕のコウホート分析,特に下顎第二乳臼歯について,第51回日本口腔衛生学会総会,大阪市:大阪国際会議場.

これまでの研究成果の一部(参考)
[論文]
・那須郁夫, 渡邉寿子, 中村 隆, 堀内俊孝 (2003). 日本人習慣飲酒のコウホート分析−国民栄養調査による−, 厚生の指標, 50(2), 1-8.
[学会発表]
・那須 郁夫,中村 隆, 堀内 俊孝, 生田 明敏, 新保 秀樹,渡邉 寿子 (2007). 国民健康・栄養調査による日本人喫煙習慣のコウホート分析, 公衆衛生学会雑誌, 54(10), 242. (日本公衆衛生学会, 松山市: 愛媛県民文化会館, 2007/10/25)
・那須 郁夫, 渡邉 寿子, 中村 隆, 堀内 俊孝, 生田 明敏, 新保 秀樹 (2001). 日本人飲酒習慣のコウホート分析, 国民栄養調査による, 日本公衆衛生学会, 高松市:全日空ホテルクレメント高松「飛天」
・那須 郁夫, 渡邉 寿子, 中村 隆, 堀内 俊孝, 生田 明敏, 新保 秀樹 (2003). 日本人運動習慣のコウホート分析, 国民栄養調査による,日本公衆衛生学会, 京都市:国立京都国際会館
・那須郁夫,渡邉寿子,中村 隆(2004). 日本人飲酒習慣のコウホート分析,ベイズ型コウホート分析による,第39回日本アルコール・薬物学会総会,八王子学園都市センター・クリエイトホール

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

開催はありませんでした。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

生田 明敏

日本大学

新保 秀樹

日本大学

那須 郁夫

日本大学

堀内 俊孝

日本大学

渡邉 寿子

日本大学