平成212009)年度 重点型研究実施報告書

 

課題番号

21−共研−4210

分野分類

統計数理研究所内分野分類

j

主要研究分野分類

8

研究課題名

統計学の入試問題策定に関する研究 〜諸外国事例をもとに〜

重点テーマ

統計教育の新展開

フリガナ

代表者氏名

サクライ ナオコ

櫻井 尚子

ローマ字

SAKURAI NAOKO

所属機関

東京情報大学

所属部局

総合情報学部 環境情報学科

職  名

教授

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

研究目的と成果(経過)の概要

小中高等学校の「数学」の学習指導要領が2009 年度に改訂されたのを受け,明示された「統
計」の導入にしたがって影響を受ける教科書や入試問題の領域では対策が急務となった.また,
社会から寄せられる統計学への需要の高まりに沿って,教育現場でのさまざまな対応・変容が
予想される.日本の教育現場でのこのような状況下,本研究が主対象に据えるアメリカでは, AP
プログラム(Advanced Placement Program)を全米で展開して久しい.なかでも1997 年に最初の試
験が実施されたAP Statistics の人気は高く,年々受験者が急増している.理由の一つは高校生
が進学する大学の教科において,統計的問題解決能力の必要性が高く認識され,AP Statistics
の成績を入試時に重視する大学が増加していることである.これらのアメリカの現状を踏ま
え,AP Statistics の教育内容を十分に調査・研究しながら日本における統計学の入試問題作成へ
の情報を収集・分析するのが本研究の主たる目的である.
研究班では AP Statistics の出題内容を詳細に調査するために,書籍資料とインターネット上
の関連情報を収集整理した.AP Statistics 主催元のcollege board をはじめ,日々の授業を展開す
る選抜された高校のシラバスやスケジュールをまとめ,それらの内容からAP Statistics が求め
る基礎知識や応用力および分野別の需要を整理し,AP Statistics 以外の評価基準との比較も行っ
た.AP Statistics は授業のCourse Description にしたがい,内容は統計的推測を含めて4 項目に
大別される.日本の統計教育と大きく異なる点は,実験計画分野の割合が大きいこと,および
社会の具体的な問題を多数取り上げ,自身の知識・技術を問題解決に応用して記述できること
を重要視している点である.今年度はこれらの調査・分析結果をまとめて次項に示す学会やワ
ークショップへの論文投稿や研究発表を行った.次年度以降,これらの情報を共有・活用して
大学入試問題作成への道筋を探っていく.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文発表
櫻井尚子,和泉志津恵,深澤弘美.(2010)AP Statistics における単位認定試験の出題
内容について,第6回統計教育の方法論ワークショップ論文集 pp.25-28.
和泉志津恵,Robert Gould.(2010)大学・大学院における統計教育の国際比較,第6 回
統計教育の方法論ワークショップ論文集 pp.43-46.
櫻井尚子.(2009)米国の高大接続のための統計教育プログラム−Advanced Placement
Statistics Program について−,応用統計学会2009 年度年会報告集別刷.
学会発表
櫻井尚子.(2010)米国の高大接続のための統計教育プログラム−Advanced Placement
Statistics Program について−,平成21 年度 JST 理数系教員指導力向上研修事業学習
指導要領における数学科「資料の活用」および「データの分析」で育む統計的課題解
決力授業(東京).
櫻井尚子,和泉志津恵,深澤弘美.(2010)AP Statistics における単位認定試験の出題内
容について,第6回統計教育の方法論ワークショップ「社会の期待に応える統計教育
の構築−資料の活用からデータの分析をどう教えるのか−(東京).
櫻井尚子.(2009)米国の高大接続のための統計教育プログラム−Advanced Placement
Statistics Program について−,応用統計学会2009 年度年会(東京).

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

今年度は開催していません.
なお,毎月一度の割合で開かれている統計教育委員会およびその分科会において,
本研究の課題に関する討論を行う機会を得ている.

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

和泉 志津恵

大分大学

江口 真透

統計数理研究所

深澤 弘美

東京医療保健大学