昭和631988)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

63−共研−48

専門分類

5

研究課題名

情報量の統計的意味と理工学的背景

フリガナ

代表者氏名

マツナワ タダシ

松縄 規

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

統計基礎研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

現代の統計学に於てその使用が不可欠となっている情報量について,統計的観点および物理的観点から多角的に対比,検討しその意味を把握する。
また,この事に関連する応用事例を参加予定者が分担して提案,研究する。


統計学に於てその理解と利用が不可欠となってきている情報量について,統計的観点および物理的側面から多角的に対比・検討を参加者が分担して行なった。
情報量の基礎にあるエントロピー等の物理,熱力学的な背景,大偏差確率の評価等について研究し,これ迄の研究を前進させた。特に修正情報量規準の基本不等式の改善とその応用としての極値統計量の分布の近似理論に関して,一様近似誤差のある意味での最良の上界を与える事ができた。
対象とする確率変数列が従属の場合基本的な情報量がどういうものかを,物理的問題と統計的モデルを対応させて考察した。結果は複雑であり,なお引続いて研究が必要であるが,より一般的,現実的な統計的問題を扱うために,より使いやすい形の情報量規準の構築の端緒を若干であるが得た。統計的推論の一つの重要なテーマであるセパレート理論と情報の関係についても,推測に於て直接興味のないパラメータの影響を除くための方法についても従来の研究を発展させた。また統計的なモデル選択の規準として期待エントロピーのベイズ推定について議論し若干の興味ある結果を得た。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1.T.Matsunawa(1989),Information and Entropy,[Modification of‘Concept and Role of Amount of Information in Statistics’](in preparation).
2.T.Matsunawa(1989),Error Bounds for Uniform Approximation of the Distribution of Extreme Order Statistics.Research Memorandum of the Institute of Statistical Mathematics,No.363.
3.H.Kuboki(1989),A Bayeo Estimate of the Expected Entropy as a Model Selection Criterion(in preparation).


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

情報量の物理的意味の一側面として,例えば,力学系の安定性理論からの接近による解釈を考究する。この事に関連して統計学に於ける情報量の意味と役割を比較,対比する事により諸科学に於ける情報量の重要性の理由の一端を明らかにする事を計画している。
統計学が他の諸科学と共通する数理である事の一部分を情報量という理工学に於て基本的な量の一つによって明らかにしようとする本研究の試みは,統計学とその周辺分野の相互関係を総合的に理解しようとする意図を持つものであり,共同研究のテーマとして是非取り上げる必要があると思っている。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

柏木 宣久

統計数理研究所

久保木 久孝

電気通信大学