平成172005)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

17−共研−2010

専門分類

1

研究課題名

球およびロッドのランダム充填の研究

フリガナ

代表者氏名

イソカワ ユキナオ

磯川 幸直

ローマ字

Isokawa Yukinao

所属機関

鹿児島大学

所属部局

教育学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

(1) 本研究の出発点は,3次元ユークリッド空間において,その座標軸のどれかに平行に,高さ無限大の角柱ロッドを逐次ランダム充填する問題である.この問題に対して,本研究以前に,充填される領域の大きさが無限大になる極限では,充填密度が 3/4 に収束し(平均収束の意味で),かつロッドの配置が等方的になることの解析的な証明に成功していた.本研究でははじめに,その結果を高次元(4次元以上)の空間に拡張することを試みた.その結果,未だ部分的な解決ではあるが,次の事柄を発見した: (i)高次元空間のロッドパッキングにおいては,ロッドの高さの次元が空間の次元により決まるある値大きい場合(この場合のロッドをfatと呼んだ)と,ロッドの高さの次元が小さい場合(この場合のロッドをslimと呼んだ)では,パッキングの様態が全く異なること; (ii)4次元空間における fatロッドのパッキングではパッキング密度は1 または 3/4 となること,(iii)一方,slim ロッドのパッキングでは任意の周期に対して,fatロッドの周期的パッキングでしかもパッキング密度が 1 となるもの構成できること,を示した.これらの結果は,次ページの論文 ”Regular Rod Packing in Four-Dimensional Space” において公表した.これに加えて,fatロッドとslimロッドの概念の理論的意味を明確にすること,また5次元空間の場合の研究を行い,ISMシンポジウム“Packing and Random Packing”(統計数理研究所 2006年3月1日〜3日)において発表した.
(2) 球面上での球帽のパッキングの問題と関連して,球面上のネットワークで分割されたセル(球面多角形)の面積が互いに等しい場合に,ネットワークの周長を最小にする問題を研究した.この問題は,セルの個数nが4,6,12の場合に古くTothが解を与えて以来,研究は進展していない.本研究ではn=5およびn=7の場合に解決を与えた.n=5 の場合の証明は論文”Shortest Spherical Network of Pentahedra”において公表した.
(3) さらに,球面の多角形分割の問題との関連で,正多面体でない凸多面体サイコロを投げたときに各面が着地する確率を求める研究を行った.現時点では非常に特殊な投げ方の場合しか解明できていないが,その場合に,各面が着地する確率が,凸多面体をその重心を中心とする球面に射影したときにできる球面多角形の面積に比例することを発見した.この考察にあたっては,球面ラゲール分割が重要な役割を果たす.また上記(2)の研究の場合と同様に,古典的な幾何確率が主要な道具となる.
(4) 不可能図形としてよく知られているペンローズの3角形の類比で,ネットワーク形状の構築物で,3次元空間内の立体としては実現が不可能なものの構成法を研究した.ネットワークの形は,2次元図形としてはアルキメデスのタイル貼りに一致しているが、辺がすべてロッドで置き換えられている不可能図形になっている.この奇妙な図形を考案した目的は,向き付け不可能な図形等を『可視化』するためである.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

(1)Yukinao ISOKAWA“Shortest Spherical Network of Pentahedra”鹿児島大学教育学部紀要自然科学編56巻, 1-10.
(2)Yukinao ISOKAWA“Regular Rod Packing in Four-Dimensional Space” 鹿児島大学教育学部紀要自然科学編57巻, 1-4.
(3)Yukinao ISOKAWA“Structures of Rods which have shapes like the Archimedian Tilings and are impossible like the Penrose Triangle” preprint.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

種村 正美

統計数理研究所