平成232011)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

23−共研−2054

分野分類

統計数理研究所内分野分類

g

主要研究分野分類

1

研究課題名

特異モデルに対するモデル選択法の構築

フリガナ

代表者氏名

ニノミヤ ヨシユキ

二宮 嘉行

ローマ字

Ninomiya Yoshiyuki

所属機関

九州大学

所属部局

大学院数理学研究院

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

47千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究課題の目的は,より一般の特異モデルに対して理論的に妥当かつ容易なモデル選択法を構築することであった.これに対する成果は以下である.

※構造変化モデルに対するTICの導出
構造変化モデルに対し,真の分布がモデルの中に入っているという仮定をはずしたもとでの情報量規準,いわゆるTICを導いた.指数型分布族に属する分布に独立にしたがう,あるいは自己回帰モデルにしたがう中でパラメータの値がシフトするという基本的な構造変化モデルにおいて,そのTICは陽な形で与えられることを示した.また,真の分布がモデルから少しずれている場合に,期待平均対数尤度とAIC,TICを比較すると,AICよりTICの方がはっきりと期待平均対数尤度に近いことを数値実験により確認した.そしてこの場合において,TICによるモデル選択の方がAICによるモデル選択に比べて妥当である,具体的に述べるとAICによるモデル選択は保守的すぎる結果を与えることも数値実験により確認した.

※因子分析モデルに対するAICの改良
2008年に,因子分析モデルに対して局所錐母数化と呼ばれるあるパラメータの変数変換を適用し,モデルの特異性を考慮した妥当なAICを導出したが,実はそこではモデルにある不自然な仮定を課していた.そこで,その仮定をはずすため,複雑ではあるものの新しい局所錐母数化を考え,より妥当なAICを導いた.特異性を考慮したことによるAICの改良に比べ,不自然な仮定をはずすことによるAICの改良は小さいものではあるが,数学的な妥当性は大幅に改良されており,因子分析モデルのAICの完成形を得たと考えている.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文
1. Ninomiya, Y., Yanagihara, H. and Yuan, K.-H. Selecting the number of factors in exploratory factor analysis via locally conic parameterization. In preparation.
2. Ninomiya, Y. Model selection in change-point problems via AIC. Submitted.

発表
1. AIC for estimating the number of structural breaks. Workshop "Time Series: Models, Breaks and Applications", Karlsruhe, February 2, 2012.
2. Likelihood ratio test for exploratory factor analysis model. 7th Conference of the Asian Regional Section of the IASC, Taipei, December 18, 2011.
3. モデル選択理論と信号検知. ウィンタースクール「数理モデルの産業・諸科学への活用」, 東京, 2011 年 11 月 30 日.
4. 信号モデルに対するモデル選択理論について. USNシンポジウム, 東京, 2011 年 10 月 25 日.
5. 因子分析における因子数選択のための分布理論. 統計関連学会連合大会, 福岡, 2011 年 9 月 6 日.
6. 特異モデルに対するモデル選択法について. 統計サマーセミナー, 諏訪, 2011 年 8 月 9 日.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

特にありません.

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

藤澤 洋徳

統計数理研究所