昭和631988)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

63−共研−56

専門分類

6

研究課題名

中部地方における群発地震および余震の統計的研究

フリガナ

代表者氏名

オオイダ トオル

大井田 徹

ローマ字

所属機関

名古屋大学

所属部局

理学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

中部地方に発生する微小地震活動の時間的・空間的な特徴の調査の一貫として特に長野県西部地方に発生している群発地震と1984年長野県西部地震とその余震の統計的性質を調べ,群発地震と余震との関係,現在発生しているこの地域の地震の性質について調べる。また周辺地域の微小地震活動との関係についても調査する。


1984年9月に発生した長野県西部地震は多数の余震を伴っているばかりでなく,同地域には1976年以来群発地震が発生している。名古屋大学では1976年以来これらの地震の観測を行い,とくに1978年からはテレメータによる連続観測が行われ,この地域内に発生しているマグニチュード2.0以上の地震についておよそ7000個の地震の震源要素や規模についてのデータが得られている。これらの地震の発生の時系列を統計的に処理し,バックグランドの地震活動と群発地震活動,余震活動を分離し,個々の活動の性質を調べ相互の関係について研究した。現在より広域な中部東海地域における地震活動との関わりについて調査している。
中部東海地域の地震活動について,特に上部地殻内(20km以浅)に発生する地震群と直下に沈みこみつつあるフィリピン海プレート内に発生する地震についてこれをいくつかの活動域に分け,各々の地域における地震活動の相互関係を統計的に比較し,特に中部東海地域では,フィリピン海プレート内に発生している微小地震のうち,愛知県東部から静岡県西部にかけての深さ30〜70kmに発生している地震群の活動と岐阜県内の深さ0〜20km内の上部地殻内に発生している地震群の活動の相に相関のあること,これに対して三重県に沈み込みつつあるフィリピン海プレート内の地震群とは相関のみられないこと等が発見された。また,同じ上部地殻内の活動であるが長野県西部地域の地震活動と,およそ160km離れている伊豆東方沖の群発地震活動の間に逆の相関のあることも見出され詳細な調査を行っている。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

これらの研究の成果については1989年秋期地震学会において発表の予定である。


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

中部地方の地震活動は主としてこの地域の地殻下に沈みこむフィリピン海プレートと地殻との相互作用によるものと考えられ,特にプレート北側先端部付近の内陸地殻内で浅発地震の活動度が高い。飛騨地方から木曽地方にかけては微小地震が多く発生し,小規模な群発地震活動も多い。特に長野県西部地域では1976年以来群発地震活動があったのち1984年9月にマグニチュード6.8の地震が発生し,数多くの余震を伴って現在にいたっている。これらの地震の発生状況,電源でのメカニズムについては詳しい調査がなされてきたが,群発地震と余震の統計的性質については未解決の問題が多い。この面について貴研究所との共同研究を行い,問題の解明をはかりたい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

尾形 良彦

統計数理研究所

藤井 巖

名古屋大学

山崎 文人

名古屋大学