平成61994)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

6−共研−18

専門分類

2

研究課題名

統計処理計算の並列処理の研究

フリガナ

代表者氏名

シラカワ トモノリ

白川 友紀

ローマ字

所属機関

筑波大学

所属部局

構造工学系

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

近年、情報化社会の高度化につれて、統計処理を行うべきデータの量が急速に大きくなる一方で、電子計算機の高速化も進んできている。この電子計算機の高速化は、今後、並列計算機による並列処理で実現されることが多くなると推測される。
並列処理により実際に処理を高速に行なうためには、並列処理アルゴリズムが応用プログラムに対しどのくらい有効であるか、また依存するかを調べ適切なアルゴリズムを選択、開発する必要がある。本研究では実際に並列計算機を用いて統計処理プログラムの並列処理を行い、高速化と処理効率について調べる。


本研究では、2次元隣接プロセッサ間結合、放送バス、バリア同期機構を持つ並列計算機QCDPAXを用いて、基本統計量の計算、重回帰分析、主成分分析を並列処理し、その並列処理効率についての評価を行った。また、解析結果を視覚的に捉えるために、PHIGSによる表示を行った。
以前より乱数データを用いて並列処理の効果を調べていたが、実際的な例として自動車の騒音に関するデータ、ある川の上流の雨量とその河口での流出水量のデータについて重回帰分析を行った場合も評価した。
自動車の騒音のデータは、本来一次元の時系列データであるが、ラグを変量数Mとみたててとり、重回帰分析を行った。
川の上流2地点での雨量と河口での流出水量のデータについては、雨が降ってから河口の流出水量に影響が起こるまでにはタイム・ラグがあると考えられるので、データを少しずつずらしながら解析を行い、決定係数Rなどの適合性の指標が良い場合の結果を採用した。
結局、重回帰分析では、サンプル数Nが10000以上のときに、変量数Mにかかわらず95%以上の並列処理効率が得られた。
以上より、統計データ解析の並列処理の有効性が示された。また、PHIGSによる表示も行い、解析結果を視覚的に捉えることが可能になった。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

下平文彦、小林 覚、白川友紀、田村義保:統計データ解析の並列処理、計算機統計学、Vol.8,No.1,1995.(掲載予定)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

筑波大学では、10年以上にわたって並列計算機の研究を行って来ており、現在、筑波大学で設計した並列計算機が4台稼動している。この並列計算機の1つに統計処理プログラムを乗せて実行速度を計り、並列処理の効率向上や並列アルゴリズムの改良を行う。
統計処理の従来の逐次処理の方法や、いろいろなユーザインタフェースを並列処理をする際にも生かしていくため、統計数理研究所との共同研究が必要である。一部の計算のみを並列処理化するだけでなく統計処理を実際にユーザが行う時に、並列処理による高速化の良さが実感できるようなものとなることを評価基準として持ちたい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

小林 覚

筑波大学大学院

田村 義保

統計数理研究所