平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−127

専門分類

3

研究課題名

音声生成と知覚の相互作用に関する研究

フリガナ

代表者氏名

カトウ ヒロコ

加藤 比呂子

ローマ字

所属機関

NTT

所属部局

コミュニケーション科学研究所

職  名

研究主任

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

人間の聴覚は音声コミュニケーションの時々刻々変化する環境状況に適応してその特性をダイナミックに変化させる機能を有している可能性が高い。本共同研究では,この聴覚のダイナミックな環境適応機能を明らかにすることを目的とする。



音声生成過程の特性を調べるために、男女数名の被験者が発声した音声時系列データに摂動を加え、聴覚へフィードバックさせ、その信号を聞きながら一分間発声するという実験をおこない、収集されたデータについて統計的時系列解析を施した。二変量の音声時系列データから抽出した基本周波数の時系列データに対し、ベイズ型多変量非定常時系列モデルのあてはめをおこなった。
モデルより得られたパラメータを用い、推定された定常時系列の部分について、統計的システム解析と、フィードバック関係を切断するシミュレーションを用い、発声システムの動的変化の検討をおこなった。これらにより、一分間の発声の途中におこなわれる息継ぎの度に、発声機構が変化している様子をみることができた。
被験者によっては、何回かの発声後、聴覚へ不安定な信号がフィードバックされても、安定した発声ができる様子を示すものもあった。今後のテーマは、発声を続けることによる音声生成過程の特性の時間的変化に影響を与えている要因を探ることと、発声、心拍、体動揺などのを含む多次元時系列データについての解析である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

- H.Kato and H. Kawahara,“ For the relationship of human speech production and perception”,In proc.: 2ND IMIA - IFMBE INTERNATIONAL WORKSHOP ON BIOSIGNAL INTERPRETATION, pp. 191-194.
- H.Kawahara, H. Kato and J. C. Williams,“Effects of auditory feedback on F0 trajectory generation”,In proc.:ICSLP'96, pp. 287-290.

- 河原英紀,加藤比呂子,A. K. Barros(1996),“音声の基本周波数揺らぎの発声源と聴覚による変形について”,日本音響学会講演論文集,pp. 375-376.
- 加藤比呂子(1996),“How does the auditory system change with respect to speech?”,統計数理研究所共同研究会「時系列解析の理論と応用」。
- 加藤比呂子(1996),“For the relationship of human speech production and perception”, 科研費シンポジウム「時系列解析の理論と応用の研究」。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

(内容)発声を続けることによる音声生成過程の特性の時間変化の解析。発声,心拍,体動揺などを含む多変量時系列データ解析。
(必要性)当研究所は,統計的時系列解析の専門であり,集積されつつある音声・知覚・生成相互作用に関する多変量時系列データ解析に必要な知見,技術,ツールを有している。この能力と,共同研究者の実験技術,聴覚音声知覚に関する知見,モデル化の能力を合わせて共同研究を実施することにより,研究を大きく進展させることができる。



 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石黒 真木夫

統計数理研究所

河原 英紀

和歌山大学