平成クオ1989)年度 共同研究集会実施報告書

 

課題番号

クオ−共研−51

専門分類

5

研究課題名

ランダム・パターンのフラクタル構造と統計

フリガナ

代表者氏名

マツシタ ミツグ

松下 貢

ローマ字

所属機関

中央大学

所属部局

理工学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

16 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

自然界にはランダムなフラクタル・パターンが遍く見られる。この点については過去10年程非常に多くの注目を集め,計算機シミュレーション・実験・理論的研究が盛んに行われて来た。例としては,電析・結晶成長など多くの現象を説明し得る粒子凝集(DLA),コロイド系に関連したクラスター凝集(CCA),薄膜成長,癌・腫瘍の増殖,疫病伝播,森林火災など多彩である。従来はパターンのフラクタル性とその動的性質や成長機構との関連の解明が研究の主題であったが,依然としてその本質的理解に至っていない。他方,これらのパターンは通常,個々のクラスターからなり,それら同志の競合によって構成されている以上,パターンの全体構造,個々のクラスターの構造とその統計との間に密接な関連があるはずである。これらの問題に興味を持つ実験・理論・計算機関係の研究者・大学院生が多数参加して深く議論できる研究会を開催することは有意義かつ緊要であると考える。


大型計算機の飛躍的発展に触発されて,近年,自然界に遍く見られるランダム・パターンの成長を記述する多くのモデルが提案され,議論されて来た。なかでも,フラクタル性を有するランダム・パターン形成の問題は特に注目され,種々のモデルの提案,その計算機シミュレーション・実験・理論的研究が80年代全般にわたって急速に進められて来た。こういった状況を踏まえてなされた今回の研究会は,この分野の80年代における成果を総括しつつ90年代を展望するためにはまさに時宜にかなったものであったと言えよう。
本研究会で発表・議論されたテーマは多岐にわたるが,大別して次のようにまとめられる:(1)電析,誘電破壊,樹枝状結晶成長など幅広い自然現象に関連した拡散律速型のパターン形成,そのフラクタル構造,フラクタル・ノンフラクタル遷移など,(2)相分離に伴うパターンの統計とダイナミクス,(3)フラクタル・ネットワークのダイナミクス,(3)フラクタル・ネットワークのダイナミクス,(4)地震や破壊に関する諸問題,(5)結晶形態に関する諸問題,(6)その他,疫病伝播,吸着,各種欠陥のダイナミクス,1/fノイズ,フラクタル物体による回折現象等。以上について非常に活発な議論がなされ,多くの今後の課題が指摘された。これらの問題は確かに多岐にわたっているが,どれも何等かの意味でフラクタル性を有するという点で相互に密接な関連があると思われる。
以上のような問題に興味を抱く実験・理論・計算機関係の研究者・学生が一堂に会して討議できる機会を持つことができ,非常に有意義であった。また,今回,医学関係の方々の参加が目立ち,将来,何等かの形で「医学・生物学におけるフラクタル」のような研究会の必要性を痛感したことを付記する。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上羽 牧夫

東北大学

太田 正之輔

九州大学

大月 俊也

福井大学

小林 隆幸

滋賀医科大学

佐藤 信一

静岡大学

種村 正美

統計数理研究所

丹田 聡

北海道大学

豊木 博泰

山梨大学

中山 恒義

北海道大学

長谷 隆

静岡大学

早川 美徳

東北大学大学院

本庄 春雄

九州大学

本田 勝也

名古屋大学

宮島 佐介

中部大学

三好 永作

九州大学