平成21990)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

2−共研−7

専門分類

1

研究課題名

主成分分析におけるノンパラメトリック検定法の有効性に関する研究

フリガナ

代表者氏名

ウシザワ ケンジ

牛沢 賢二

ローマ字

所属機関

産能大学

所属部局

経営情報学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

主成分分析における固有ベクトルに関するノンパラメトリック検定法の信頼性・有効性を大規模シミュレーションにより確かめる。従来,この分野においては多変量正規分布を仮定した一部の理論研究しか行なわれておらず現実的な問題では限界があった。ノンパラメトリック検定はそれを越える画期的なものでありこれまでの方法論と併せて,比較検討する。


主成分分析における二標本の各々の固有根の同等性検定について,ノンパラメトリックな方法の有効性を大規模シミュレーション実験によって確かめた。
ノンパラメトリックな方法を用いる理由は,主成分分析における固有根や固有ベクトルの分布が多変量正規分布を仮定する以外は求めることが極めて困難なことによる。
本研究では母集団分布として連続型の場合は多変量正規分布と多変量対数正規分布,離散型の場合は多変量多項分布について吟味する。また,方法の有効性を左右する条件として,二標本のサンプルサイズ,次元数及び母固有根の大きさを考慮し,どのような条件下で有効であるかを確かめた。
固有根の同等性検定のための検定統計量としては,アンサリーブラッドレイの統計量を利用した。
具体的に,今,大きい方からK番目の固有根の同等性について考えると,第一の母集団から算出されるサンプル毎の主成分スコアを〓,〓,…,〓とし,第二の母集団から算出されるサンプル毎の主成分スコアを〓,〓,…,〓とし,〓=(2N)とする。これらを一緒にして,大きさの順に並べたものを

とする。また,〓
0,〓
とすると,アンサリーブラッドレイ統計量Aは

となる。2つの固有根は等しい場合には,


の正規分布で近似でき,このことを利用して検定を行う。
この方式によるシミュレーション実験の結果,以下の内容が確認された。
・他の検定方式同様,サンプルサイズが大きくなるに従って,正確な結果が得られる。
・母固有根の大きさが比の形で影響を及ぼす。すなわち,母固有根を〓,〓,…とすると〓…,〓…等が大きい場合(あるいは小さい場合)に正確な結果が得られる。
これらを含めて,多変量正規分布のもとでは正確な分布論の場合と匹適する有効性と限界が確かめられた。
他の母集団分布の場合等条件を変えての研究を今後も継続する必要がある。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

発表予定
日本統計学会第59回大学


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

共同研究は以下の内容について実施する。
(1)大規模シミュレーションを行うために信頼して使える物理乱数にもとづく多次元乱数を生成する方法を検討・吟味し,高速で発生させる乱数の開発を行う。
(2)各種の母集団分布を仮定してノンパラメトリックな方法による検定統計量の精度について比較研究する。
(3)ノンパラメトリック検定のための方法論を発展させシミュレーションによりその精度,信頼性を比較する。
これらのことを行うには乱数に関しても極めて高度の知識を有する清水良一先生に加わっていただき,また物理乱数発生装置の利用が不可欠である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

清水 良一

統計数理研究所

杉山 高一

中央大学