平成212009)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

21−共研−2065

分野分類

統計数理研究所内分野分類

i

主要研究分野分類

5

研究課題名

不完全情報下における制御系設計に関する研究

フリガナ

代表者氏名

ミヤサト ヨシヒコ

宮里 義彦

ローマ字

Yoshihiko Miyasato

所属機関

統計数理研究所

所属部局

数理・推論研究系

職  名

教授

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

17 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 自動制御系の設計にあたっては、構築するモデルの種類や精度により、適用可能な制御手法の種類や達成できる性能が規定される.この二十年近く、制御科学の分野でその問題に対して多くの関心が集まり、さまざまな研究成果が得られた.中でもH∞制御に代表されるロバスト制御理論の成果は、モデル誤差と制御系の安定性や制御性能との関係を厳密に規定した点で、制御科学の発展に多大の貢献をしたが、同時に制御系設計を考慮したモデリング手法の開発という新たな課題ももたらした.またバックステッピングやフォワーディングなどの手法は、厳密な線形化に代わる非線形制御または適応制御の新たな手法として広く適用できることが明らかになりつつあるが、それと同時に、これまで以上の精度での非線形構造の同定という問題も生み出した.制御におけるモデリングとは、それ自身が問題の終端ではなく、それをもとに構成された制御系の総合性能を規定する一要素としての意味合いを持つ.それに由来して、制御とモデリングを含めた統合化設計(逐次設計、ウィンドサーファ・アルゴリズム、同時設計)が数多く提唱されているが、制御に必要なモデリングとそれに含まれる誤差の厳密な解析という問題が未解決のため、大きな成果は得られていない.
 このような制御科学の新たな局面を見据えながら、これまで以上に緊密な関係にあるモデリングと制御系設計の問題に対して、統計科学と制御科学の分野で得られた成果をもとに、制御系の新たな統合化設計理論を構築するのが本共同研究の目的である。ロバスト制御を考慮したロバスト同定、モデリングと制御系設計を逐次的に行うウィンドサーファ・アルゴリズム、非線形構造を積極的に取り入れたバックステッピングやフォワーディングに基づく非線形適応制御、逆最適制御理論と非線形素子を併用した知能化適応制御、統計的学習理論を応用したシステム同定と確率的適応制御などの問題に対して、これまでの研究では無かった制御科学と融合した統計科学の視点を含めることにより、当該問題の解決のための新たなブレイクスルーを追求していく.
 今年度は研究所内で研究集会は開催しなかったが、各種学会、シンポジウムにおける以下の研究発表を通じて、研究討論を行った(○は共同研究員)。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

学会講演会名:(社)計測自動制御学会・制御理論シンポジウム(2009年9月)
研究発表
[1] 対象の低次元モデルに基づくパラメータ推定法
○池田 建司(徳島大学大学院),最上 義夫(徳島大学大学院),下村 隆夫(徳島大学大学院)

[2] 非線形入力特性を有するフレキシブルアームの有限次元モデル規範形適応H∞制御
○宮里 義彦(統計数理研究所)

[3] 動的システム論的アプローチによる動画像中のオプティカルフロー推定法
○瀬部 昇(九州工業大学), ○延山 英沢(九州工業大学),榎田 修一(九州工業大学)

学会講演会名:(社)計測自動制御学会・制御部門大会(2010年3月)
講演発表
[1] 非一様・非対称な時間遅れを持つマルチエージェントシステムの 合意問題と合意値
桜間 一徳(電気通信大学), ○中野 和司(電気 通信大学)

[2] 分散適応制御による出力合意形成
貝塚 悠祐(東京大学), ○津村 幸治(東京大学)

[3] ロボット運動制御のための2リンク2慣性系の非干渉化同定法
大明 準治(株式会社 東芝), ○足立 修一(慶應義塾大学)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

足立 修一

慶應義塾大学

池田 建司

徳島大学

石黒 真木夫

統計数理研究所

伊藤 聡

統計数理研究所

大久保 重範

山形大学

小原 敦美

大阪大学

北森 俊行

東京大学

新 誠一

電気通信大学

瀬部 昇

九州工業大学

田村 義保

統計数理研究所

津村 幸治

東京大学

中野 和司

電気通信大学

延山 英沢

九州工業大学

半場 滋

琉球大学

樋口 知之

統計数理研究所

和田 清

九州大学