平成162004)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

16−共研−1014

専門分類

6

研究課題名

地震波時系列解析にもとづく地球内部短波長不均質構造評価に関する研究

フリガナ

代表者氏名

ニシザワ オサム

西澤 修

ローマ字

Nishizawa Osamu

所属機関

産業技術総合研究所

所属部局

知圏資源環境研究部門物理探査研究グループ

職  名

主任研究員

所在地

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研究目的と成果(経過)の概要

地球内部の不均質構造は観測された地震波によって推定される。実際の地下構造を空間波長でとらえなお
すと,地下構造が決められているのは長波長卓越部分で,短波長構造は長波長構造からのランダムなゆらぎ
として認識される。したがって,短波長構造は決定された構造からのゆらぎであり,計算される地震波形と
観測波形の間のゆらぎは,長波長構造に対する短波長のゆらぎによって生み出される。これが各種インバー
ジョン手法における誤差の主要な原因と見ることができる。そこで,短波長のランダムなゆらぎが地震波に
与える影響を明らかにすることが必要となる。
 そこでまず,地震波ゆらぎと短波長ランダム不均質との関係を明らかにする。このため,モデルを用いた
室内実験と数値実験を行う。室内実験では,岩石をランダムな不均質構造の縮尺モデルとし,震源-受信
点距離を等しくする円状のアレイによって透過弾性波や反射弾性波の波形のゆらぎを多変量ARモデル
で解析する。とくに波形間のクロススペクトルから位相のゆらぎを調べる。
 位相のクロススペクトルは,低周波領域では分散の値が小さいガウス分布であるが,ある特定周波数
領域から分布の分散が急に大きくなり,位相の周期性を考慮すれば事実上0〜2πの一様分布とな
り,高周波成分でのゆらぎは完全にランダムになる。
 以上の事実をもとに地震波による地下構造決定の精度評価を数値的に行うことができる。まず,長波
長を卓越的に含んだ構造モデルを準備し,ここを伝播する地震波を数値シミュレーションによって作成
する。つぎに,長波長構造モデルに短波長不均質構造を重ね合わせ,ふたたび地震波を数値シミュレー
ションする。両者の波形の違いがランダム不均質構造によるゆらぎである。そこでランダム不均質構造
によるデータをもとにトモグラフィーなど,通常地球科学探査で用いられる手法を適用し,精度を評価
する。今年度は,数値シミュレーションの基本的部分の開発を行い,2005年度以降,シミュレーショ
ンによる評価を進める予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

学会発表
Nishizawa,O.,Fluctuation of seismic waves in random heterogeneous media: A physical model
experiment,1st International Workshop on Active Monitoring in the Solid Earth Geophysics,30 June-
2 July,2004,Mizunami,Japan,Proceedings S6-06,306-313
Nishizawa,O.,Experimental studies of waveform fluctuation in random heterogeneous media,
Proceedings of the 7th SEGJ International Symposium,Nov.,2004,Sendai,Japan,225-230.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

北川 源四郎

統計数理研究所