昭和601985)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

60−共研−42

専門分類

7

研究課題名

虚血性心疾患の診断精度に関する研究

フリガナ

代表者氏名

スガイ ジロウ

須階 二朗

ローマ字

所属機関

聖マリアンナ医科大学

所属部局

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

7 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

現在増加しつつあるいわゆる虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)の発症に,高脂血症・高血圧・高尿酸血症・糖尿病・喫煙・肥満などが危険因子として挙げられている。しかし,これら各因子がどの程度に関与しているかは解明されていない。
本研究では,虚血性心疾患の発症に対する各因子の寄与を定量的に解析し,虚血性心疾患発症の診断精度の改善に資する。


虚血性心疾患のNegative risk factorとして注目されてきているHDLコレステロール(HDLch)の意義について,他の血清諸脂質と同時に,心電図所見を対比し,それら臨床検査の精度と臨床的意義について検討した。
対象は某企業男子従業員4503名で,年齢は25歳〜73歳であり,高血圧症,心疾患,肝疾患で通院中の者,既住のある者は対象より除外した。朝食前空腹時採血を行い,総コレステロール(Tch),中性脂肪(TG)を酵素法,HDLchをヘパリン−〓法にて測定,LDLコレステロール(LDLch),Atherogenic Index(A.I.)をLDLch=Tch−(TG/5+HDLch),AI=(Tch−HDLch)/HDLchの式で算出した。
今回の検討では,血圧,Tchが高値な程,心電図虚性変化を示す割合が他の研究報告同様に多く,血清総コレステロールは心筋硬塞のrisk factorとしての関係の深いことを示した。また,血圧に関しては,高血圧が冠性心疾患急死のriskであるという従来の報告からも,血圧,Tchは,やはり虚血性心疾患の大きなrisk factorであることが示唆された。
今回は,対象として,健常者を扱っており,健常者においても,精度が高ければ集団検診の検査項目だけで種々のriskが合わされば,心電図虚血性変化を示す割合が増加するということが,多次元データ解析で分析できたことは,今後のこの種の分析に当って興味深いことである。また,今回の検討では,喫煙に関する情報を考慮していないが,冠動脈硬化の三大危険因子に,高血圧,硬コレステロール血症とならんで,喫煙も入っており,喫煙の情報も調べ,総合的に,今後検討する予定である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

第59回日本産業衛生学会大会,昭和61年4月(広島)において,「壮年雇用者におけるCoronary Risk Factor」を発表。


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

1.対象:a)現在健常とみなされるもの。b)すでに虚血性心疾患を発症しているもの
2.方法:a)データ集積:問診(食事・喫煙・飲酒など),検査(検尿,血液成分,胸部X線写真,心電図など),さらに必要と思われるもの負荷心電図・長時間心電図・心エコー図・冠動脈造影など。本項は聖マリアンナ医大共同研究者が行う。
b)データ解析:a)項データーの多変量解析を行う。本項は統計数理研究所にて行う
3.評価:解析結果を両者によって検討する
4.本年度実施計画:本年度は長時間に電図を導入し,不整脈・虚血性心電図変化のデータ集積の充実度をはかる


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

岡村 哲夫

東京慈恵会医科大学

岸 良光

聖マリアンナ医科大学

駒澤 勉

統計数理研究所

高田 英臣

聖マリアンナ医科大学

馬場 康維

統計数理研究所

三宅 良彦

聖マリアンナ医科大学