平成101998)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

10−共研−61

専門分類

7

研究課題名

長寿因子抽出の世代間調査とその解析

フリガナ

代表者氏名

サカタ トシイエ

坂田 利家

ローマ字

所属機関

大分医科大学

所属部局

医学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

11 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

我々は大分県荻町で、8・9年度約500人を対象として聞き取り調査を実施した。高脂血症の頻度は食事より予想される以上に多い事が明らかになった。今後調査を継続して、長寿と生活習慣病に関する環境及び遺伝子因子を抽出することを目的とする。また中米ドミニカ共和国とこれに関する共同研究を行う予定である。


平成8・9年度に引き続き、平成10年度も大分県直入郡荻町の40歳以上の対象住民465名に対して96項目の聞き取り調査を実施し、358名(77%)の住民より回答を得た。この調査結果を荻町が実施した基本検診の血液データと併せて解析した。この3年間、荻町の人口は88人減少、高齢化率(65歳以上)は25.2%から27.8%へと増加した。過疎化、高齢化が確実に進行している。
3年間の調査結果を通じて、荻町の40歳以上の住民の生活は現在の都市型生活とはかなり異なっていることが判明した。すなわち、仕事(農林畜産業がほとんど)を一番の生きがいとし、仕事量も多い、2世代以上の同居が多く、老後は親と同居することは当然と思っている人が多い。
食事の面では米飯の習慣が残っており、朝食の欠食もほとんどない。肉や魚は少なく、野菜も多く食べる。しかし、町全体に漬け物を多量に摂取する習慣があり、塩分の摂取量が多い。喫煙、飲酒の習慣は全国平均よりやや多い。疾患としては脳卒中、高血圧が目立っている。糖尿病、心筋梗塞といった生活習慣病も全国平均並に発症している。関節炎・神経痛といった高齢者特有の疾患も特徴のひとつである。
3年間の基礎調査が終了し、荻町の疾患と生活状況の特徴が判明した。今後は荻町全地区の基本検診受診者約1500名に対象者を拡大、白血球由来のDNAの保存と同時に、実際の生活習慣病対策を実施していくことが決まった。一方、人種間の特異性を検討するため、ドミニカ共和国に於ける生活習慣病の実態調査を平成10年度より開始し、平成11年3月末に調査準備団を派遣した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Diabetes、Am J Epidemiology、Circulation、J Hum Genet
平成10年度荻町長寿スタディー(OLS)健康意識調査結果「地域住民の健康管理の推進について」(全約90頁)を平成11年4月下旬に発行予定。平成8年、9年度分はすでに発行済み。
坂田利家、深川光司、吉松博信、国広 潔、吉川 暉. 大分県一般住民にみられる肥満糖尿病の発症因子と病態 第16回肥満・栄養障害研究会 1998年6月13日、東京

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

平成8・9年度は、大分県直入郡荻町で96項目に及ぶ聞き取り調査を約500人の対象者に実施した。人口は平成6年度で4,000人、内65歳以上は956人、高齢比率は23.9%である。その結果蛋白質、脂肪の摂取は全国平均より少ないが、高血圧、高脂血症は全国平均並で、特に高脂血症は食事から予想される以上に多かった。我々は平成10年度から、中米ドミニカ共和国のサントドミンゴ市で肥満糖尿病に関する国際比較研究を実施することになった。特に環境・遺伝因子に注目した研究であり、今後両方の研究を継続して長寿と生活習慣病特に肥満糖尿病との相互関係を明らかにしていきたいと考えている。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

桶田 俊光

大分医科大学

織部 安裕

津久見中央病院

国広 潔

大分県成人病検診センター

小西 貞則

九州大学

駒澤 勉

統計数理研究所

犀川 哲典

大分医科大学

佐藤 靖史

東北大学

高木 廣文

統計数理研究所

浜口 和之

大分医科大学

吉松 博信

大分医科大学