平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−52

専門分類

5

研究課題名

統計学と統計物理学の境界領域の研究

フリガナ

代表者氏名

イバ ユキト

伊庭 幸人

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測制御研究系

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

統計物理の手法や概念と統計学のそれとの関連を探り、両者の共通領域を共同で研究する。


本研究は統計科学と統計物理学の境界領域において、両者の交流によって得られる新しい結果を探索し、両者に共通の問題意識を探ることを目的としている。抽象的な類似性の指摘だけにとどまらず、具体的なアルゴリズムのレベルでの交流を通して両者に貢献することをめざしている。
統計科学と統計物理学の両者において重要さを増している計算法に「拡張アンサンブル」を利用したマルコフ連鎖モンテカルロ法がある。今年度の研究においては、拡張アンサンブル法の格子タンパク模型への適用について詳しく研究した。
とくに、2次元的に拡張したマルチカノニカル法を用いることで計算の効率が格段によくなることを示した。
また、伊庭は阪大理学部においてこの種のアルゴリズムに関するレビュー講演を行った。今後は拡張アンサンブル、とくに複数の方向に拡張するタイプの手法の統計科学・情報科学への応用についても研究を進める予定である。
また、昨年度から継続中の「格子タンパク質の設計問題」についても、3次元の場合を中心に詳しい実験を行い、最適化の手法に工夫を加えることで能率が大幅に向上する場合があることが示された。
以上の結果は物理学会などで発表された。また、複数の論文を準備中であり、まもなく投稿する予定である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

伊庭・菊地,拡張アンサンブルを利用したモンテカルロ法の応用;菊地・伊庭・時田,ヘテロ
ポリマーの設計問題(物性研究所研究会「物性研究における計算物理学」6月9日)。
伊庭・菊地・千見寺,格子ポリマー系の拡張アンサンブル・モンテカルロ;
伊庭・時田・菊地,ヘテロポリマーの設計問題?(日本物理学会 秋の分科会 10月7日)。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

統計学と統計物理の境界領域(特にマルコフ連鎖モンテカルロ法)について研究・討論を行なってきた。今年度は一般論についての討論を深めるとともに特定の課題(タンパク質の設計問題など)について実際のシミュレーションを行いながら議論を行いたい。統計学の観点からの問題の分析のため、統計数理研究所の研究者との共同作業が必要である。また今年は、大規模計算を行うため、本研究所のシステムの使用が必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

浦上 直人

金沢大学大学院

菊地 誠

大阪大学

千見寺 浄慈

大阪大学大学院