平成222010)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

22−共研−1019

分野分類

統計数理研究所内分野分類

i

主要研究分野分類

4

研究課題名

バーチャルオーロラシステムを利用した大規模シミュレーションデータ可視化・解析

フリガナ

代表者氏名

ムラタ タケシ

村田 健史

ローマ字

Ken T. Murata

所属機関

情報通信研究機構

所属部局

電磁波計測研究センター宇宙環境計測グループ

職  名

グループリーダー

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

バーチャルオーロラシステムは、MHDシミュレーションによりコンピュータ上にオーロラ発生過程を再現し、オーロラメカニズムを解明するためのシステムである。本システムの主目的はMHDシミュレーションにより数値的に再現されたオーロラ現象を理解するためのインタラクティビティーの高い3次元時系列可視化環境の実現である。これにより、シミュレーション空間においてオーロラ発生メカニズムをグローバルスケールで理解することが期待できる。
本研究では、バーチャルオーロラシステムを利用した大規模シミュレーションデータ処理システムを構築し、バーチャルオーロラシステムを可視化ツールとして組み込む。さらに、本データ処理システムの実用的研究として、ミューレーションデータをインタラクティブに3次元時系列可視化することで、仮想シミュレーション空間上でオーロラ発生のプロセスを理解する。
具体的には、?バーチャルオーロラシステムを使った大規模シミュレーションデータ処理システムの開発と?バーチャルオーロラシステムを利用したGlobal MHDシミュレーション可視化解析の2点を進める。?については、バーチャルオーロラシステム2008を利用して、並列処理によりGlobal MHDデータの3次元時系列可視化を行うシステムを構築する。効率的に大規模並列可視化を実現するため、本システムは、GRID(Gfarm)ミドルウェアを用いて構築する。また、?については、これらの機能を用いたGlobal MHDシミュレーション結果の時系列3次元可視化解析を行う。特に、さまざまな太陽風パラメータにおいて磁気圏にプラズマが浸透するプロセスや、磁気圏内でのプラズマ対流等による磁場構造の変化についての可視化・解析を行う。これにより、バーチャル空間でのオーロラ発生プロセスの理解が期待される。特に、これまでのシミュレーションデータ処理では難しかったインタラクティブ可視化、すなわち減少・イベント探索型可視化をバーチャルオーロラシステムで行うことで、新しいGlobal MHDシミュレーションデータ解析のアプローチが期待できる。
平成22年度においては、上記のバーチャルオーロラシステムを改良し、機能を拡張するとともに、電離圏用のバーチャルオーロラシステムも別途開発した。これを用いて、現在NICTで行っている太陽風、磁気圏、電離圏それぞれの領域のリアルタイムシミュレーションのデータをリアルタイムで3次元可視化し、Web上で公開するシステムを構築した(次項目の情報源参照)。大規模シミュレーションデータ処理システムに関しては、NICT 小金井本部、大手町センター、沖縄センター、大阪大学サイバーメディアセンターの4箇所に、合計16 台のディスクサーバ(Gfarm)を設置し、物理容量447 Terabyte 相当の仮想ストレージを構築した。これらは、今後も拡張していく予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

・論文発表
村田 健史, NICT科学情報可視化プロジェクト, 日本計算機統計学会大会論文集(24), pp.109-120, 2010.

・学会発表
坪内 健, 村田健史, 森川靖大, 松岡大祐, 山本和憲, Visualization of the field line motions with extreme-high time resolution from three-dimensional global MHD simulations, 地球電磁気・地球惑星圏学会講演会, 沖縄県市町村自治会館, 2010年10月31日-11月3日.
Murata, K. T., S. Watari, T. Nagatsuma, H. Shinagawa, E. Kimura, and S. Shimojo, A science cloud at NICT for space weather researches, 2010 Asia-Pacific Radio Science Conference, Toyama, Japan, September 22-26, 2010.
Murata, K. T., S. Watari, T. Nagatsuma, H. Shinagawa, and M. Ishii, Activities of space weather researches at NICT, 2010 Asia-Pacific Radio Science Conference, Toyama, Japan, September 22-26, 2010.
Murata, K. T., Activities of NICT space weather project, 38th COSPAR Scientific Assembly, Bremen, Germany, July 18-25, 2010.
村田健史, NICTサイエンスクラウドの現状と計画, 第1回NICTサイエンスクラウドセミナー, 情報通信研究機構, 2010年9月6日.
村田健史, 情報通信研究機構(NICT)のサイエンスクラウド, PABセミナー/Gfarm Workshop 2010, 東京工業大学, 2010年7月2日.
村田健史, NICTクラウドコンピューティングによる宇宙天気研究, CAWSES-IIキックオフシンポジウム, 京都大学宇治キャンパス, 2010年6月16-17日.

・一般解説記事
村田健史, サイエンスクラウド ?クラウドは科学研究でも有効か??, TELECOM FRONTIER NO.68 2010 SUMMER pp.32-39, Aug. 2010.
村田健史, 木村映善, 山本和憲, 亘 慎一, 加藤久雄, 森川靖大, 是津耕司, 木俵 豊, 下條真司, RDFを用いたデータ収集技法による太陽地球系科学セマンティックWeb構築の試み, 情報通信研究機構季報, Vol.55 Nos.1-4,471-487, 2010.
松岡大祐, 村田健史, 藤田 茂, 田中高史, 山本和憲, 大野暢亮, 3次元可視化とビジュアルデータマイニング, 情報通信研究機構季報,Vol.55, No.1-4,459-469, 2010.

・関連ホームページ
NICTサイエンスクラウド: https://seg-web.nict.go.jp/scuser/
e-SpaceWeather: http://e-sw.nict.go.jp/
宇宙天気リアルタイムシミュレーション3次元可視化: http://seg-web.nict.go.jp/e-sw/3d/

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上野 玄太

統計数理研究所

國武 学

情報通信研究機構

品川 裕之

情報通信研究機構

島津 浩哲

情報通信研究機構

田 光江

情報通信研究機構