平成61994)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

6−共研−26

専門分類

3

研究課題名

非線型現象のシステム設計と予測解析の確率過程論的研究

フリガナ

代表者氏名

オカベ ヤスノリ

岡部 靖憲

ローマ字

所属機関

東京大学

所属部局

大学院工学系研究科

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

統計物理学における揺動散逸定理の数学的構造の解明のために打ち立てられたKM2Oーランジュヴァレオ方程式論を、気象・経済・生命現象の非線形な複雑系に適用し、それらのデータの奥にひそむダイナミックスを探ると共に、その将来の(非線形)予測を行う。


KM2O−ランジュヴァン方程式論を時系列に応用して、定常解析、エントロピ−解析、因果解析、予測解析を行うことによって、複雑系のデ−タの奥に潜む非線型な構造を探り、その将来を予測することを研究の目的とした。
今年度は、昨年度の続きとしてDNA塩基配列を扱い、これを3次元時系列とみて、KM2O−ランジュヴァン方程式論を適用して、非線型予測を行った。質的データから量的データへの変換におけるcodingの問題を解決する必要を感じ、次年度の課題とした。
さらに今年度は、複雑系のデータとして、1960年代、1970年代、1980年代の景気変動と関連するマクロな経済時系列????マネーサプライ、円の対ドル為替レート、公定歩合、卸売物価指数、鉱工業生産指数、鉱工業製品在庫指数????に適用し、これらの時系列間の因果関係を分析した。
マネサプライが、1960年代、1980年代と較べて、1970年代において他の時系列に対する原因として働くことが実証分析としてえられた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

(1): Y.Okabe (with A.Inoue) The theory of KM2O-Langevin equations and its applications to data analysis (II): Causal analysis, Nagoya Math. J. 134, p.1-28, 1994.
(2): Y.Okabe, Langevin equations and causal analysis, SUGAKU Exposotions in Amer. Math. Soc. Transl. 161, p.19-50, 1994.
岡部靖憲、確率過程 応用と話題、4章 定常解析と因果解析、情報理論とその応用シリーズ2、情報理論とその応用学会編、培風館、1994.
(1)岡部靖憲、非線型時系列解析と新しい予測公式、第2回複雑系札幌シンポジウム 1994年8月29日
(2)中野裕治・岡部靖憲、時系列における2つの因果解析法と経済分析への応用、日本数学会、1994年9月27日
(3)岡部靖憲・中野裕治、経済時系列の非線型因果解析、第3回複雑系札幌シンポジウム 1995年1月20日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

複雑系として、中性子星からのX線、マネサプライ等の経済データ、脳波、DNAの塩基配列等の医学的データを取り扱う。大型計算機を用いて、定常解析・因果解析・予測解析を行うことによって、複雑系のデータの奥にひそむ非線形なダイナミックスを探り、その将来を予測する。
その解析の基盤となる揺動散逸定理が、伊藤栄明教授が長年研究にこられた確率衝突モデルの数学的構造の表現であり、可積分系と拡散散逸系を結びつける大事な関係式であることが明らかになりつつある。揺動散逸定理を、時系列解析の観点のみならず、可積分系・拡散系・確率衝突モデルの観点からも調べることは大切であり、統計数理研究所との共同研究として実施する必要があると考える。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊藤 栄明

統計数理研究所

金子 明人

北海道大学大学院