平成152003)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

15−共研−2045

専門分類

8

研究課題名

心理学と社会調査における文章型データと選択肢設問の統計解析

フリガナ

代表者氏名

ドイ キヨハル

土井 聖陽

ローマ字

Doi Kiyoharu

所属機関

大阪樟蔭女子大学短期大学

所属部局

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

心理学と社会調査分野の文章型データと項目反応データに対して,前者には構文解析を用いないパターン解
析を基盤にしたテキストデータ解析を,後者には主に主成分分析や対応分析を行ってきた。心理学分野では,
単語や文章の表面的な意味よりも,その背景にある意識や動機あるいは何らかの心理過程がテーマになること
が多い。また社会調査の分野でも,回答者それぞれの反応の解釈とともに,共通した意識構造やその意識構造
を有する回答者群を分類することが重要になる。このような場合には,文章に分かち書きを施し,得られた語
を分類し,その分類に対応する回答者群を見つけ出すこと,そして,同様のことを項目にも行い,語と項目の
分類間,回答者群間,そして語と項目の分類と回答者群間の関係を検討することが必要になってくる。
 今年度までに,社会的活動の心理学的基盤と考えられている社会的動機づけと,小学生から大人までの多く
が持つと言うストレスと疲労感をテーマにしてきた。社会的動機づけに関する投影法文章データから,一般に
はやる気と言われている達成動機と社会的成功を回避しようとする成功不安に関する語群を得た。さらに成功
不安の基盤概念でありながらコードに無かった性差の意識を抽出し,その際に語の意味解釈を語群に置くとい
う新しい語用論的解釈法を示した。またストレスと疲労感に関しては,疲労感,消耗感,フラストレーション
そして攻撃性に関する語群が得られた。項目反応では,疲労感尺度において,男女大学生がサンプルであるの
にも関わらず,疲労感が航空管制官の夜勤後と同様であり,バーンアウトスケールでは,現役の看護婦よりも
高い消耗感を示していた。語と項目の関係では疲労感に関して,「だるい」と「ねむい」の2語が同一表現の
項目と独立という結果が得られた。疲労感に関する項目によるサンプルの分類では,合計点と第1主成分得点
の3分類が結果的に合計点の高中低に対応していたが,この3分類で語の特徴的な使用に大きな相違は見られ
なかった。この両結果から疲労感では,語と項目の関係が一次元的ではないことが伺える。次に疲労感の項目
に関する対応分析から,元尺度の3領域にほぼ相当する項目の3分類が得られ,同時に回答者群も対応する3
分類が得られた。この回答者の3分類はすべてが疲労感尺度の合計点において,高得点から低得点までを含ん
でいた。この3分類と語の関係の検討や,特に構文解析を用いる方法が同じ疲労感とストレスのデータで如何
なる結果をもたらすか,さらには潜在的な意識や動機がテーマになる投影法文章データにどのような結果を示
すかなどの比較検討が今後の課題となった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

土井聖陽 男女大学生下位群におけるストレス・疲労関連語と項目反応 日本心理学会第67回大会
2003年9月

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

大隅 昇

統計数理研究所

福井 誠

甲子園大学

吉村 宰

独立行政法人 大学入試センター