平成12（2000）年度　一般研究１実施報告書

課題番号	12−共研−1006	専門分類	3
研究課題名	ランダムな地震波動の統計処理による地下構造イメージング
フリガナ 代表者氏名	ニシザワ オサム 西澤 修	ローマ字	Nishizawa, Osamu
所属機関	通商産業省工業技術院地質調査所
所属部局	地殻物理部
職　　名	主任研究官
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研究目的と成果（経過）の概要

[目的]　地震波は伝播途中に地下のランダムな不均質構造による散乱を受け,位相の一致しないランダ
ムな波を発生し,この波は地下の不連続構造を抽出する際のノイズとなる。ランダムな不均質に起因す
る波を統計的に処理し,不連続構造による波を分離して地下構造のイメージングを行うための原理と手
法を確立する。平成12年度の研究では散乱波に起因する波形のゆらぎを統計的に処理し,ランダム不均
質構造を把握する。レーザードップラー振動計を用いたモデル実験法を用いれば,不均質媒質中を伝播
する弾性波を簡便かつ精密に計測することができるため,質の高いモデル実験データが得られる。この
研究ではモデル実験データに関する解析を行う。
[成果]　花崗岩をモデル物質とする波動伝播実験を行った。花崗岩のランダム不均質構造の定量化を行
うため,スキャナーでイメージ化した花崗岩表面の色を三値化して鉱物の同定を行い,各鉱物に対応す
る弾性波速度を割り当てて弾性波速度ゆらぎを求めた。その結果,花崗岩の不均質構造は指数関数で近
似的に表すことができ,スケールパラメータによって特徴を表現できる。次に波動伝播実験で得られた
波形から地震波初動到達時刻のゆらぎを調べた。初動到達時刻は,ARモデルを適用した手法を用い客
観的に決める。さらに,波動エネルギーゆらぎの分布や,波形相関のゆらぎなどについても調べた。以
上の研究により,特徴的距離と走時ゆらぎ,エネルギーゆらぎ,波形相関などの定量的関係を明らかに
することができた。波形のゆがみはランダム不均質を特徴付けるパラメータが波長の1/10程度になる
と著しく大きくなる。波形のゆがみは地下構造推定時の分解能に影響するため,以上の結果は地下構造
探査精度の評価に役に立つ。

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

学会発表
1.Sivaji,C.,Nishizawa,O.,Kitagawa,G.,Fukushima,Y.,Xue,Z.,Fluctuations of arrival time and ene
rgy of P-wave:Characterization of Random Heterogeneity,AGU Spring Meeting,Washington DC.USA,
2000.62.チャダラム・シバジ,西澤　修,走時とエネルギーのゆらぎ,地球惑星科学関連学会2000年合
同大会,東京,2000.6
3.Nishizawa,O.,Lei,X.,Sivaji,C.,Fukushima,Y.,Sato,H.,Kitagawa,G.,Laboratory experiments of w
ave propagation in heterogeneous media,Workshop Meeting on Seismic Waves in Laterally Inhomogeneo
us Media V,Zahradky,Czech,2000.6
4.チャダラム・シバジ,西澤修,北川源四郎1,福島洋2,雷興林,ランダム媒質における波動伝播:
波形の変形,相関および減衰,物理探査学会　第103回学術講演会,2000.10
5.チャダラム・シバジ,西澤　修,Synthesis of seismic waveform:Inference of relationship between wa
ve distortion and heterogeneity.地震学会2000年度秋季大会,2000.11
6.Sivaji,C.,Nishizawa,O.,Kitagawa,G.,Fukushima,Y.,Statistical interpretation of seismic waves to
elucidate the heterogeneity of the medium:Correlation,2nd ISM International Symposium on Frontiers o
f Time Series Modeling,2000.12
7.Sivaji,C.,Nishizawa,O.,Fukushima Y.,A correlation method of estimating strength of heterogeneity
from an array of seismic waveforms.5th SEGJ International Symposium -Imaging Technology-,2001.1
8.Sivaji,C.,Nishizawa,O.Fukushima,Y.Deciphering the nature of heterogeneity from energy-decay p
attern,5th SEGJ International Symposium -Imaging Technology-,2001.1

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究参加者一覧
氏名	所属機関
北川 源四郎	統計数理研究所
Sivaji Chadaram	通商産業省工業技術院地質調査所
樋口 知之	統計数理研究所
雷 興林	通商産業省工業技術院地質調査所