平成272015)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

27−共研−1021

分野分類

統計数理研究所内分野分類

g

主要研究分野分類

4

研究課題名

複雑系の秩序変数の臨界緩和解析

フリガナ

代表者氏名

カソノ カツミ

加園 克己

ローマ字

Kasono Katsumi

所属機関

東京慈恵会医科大学

所属部局

医学部医学科

職  名

講師

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

目的: 有限温度における液晶相や磁気相を、ある秩序状態から別の秩
序状態へと緩和させる非平衡緩和シミュレーションを行う.これよ
り,平衡状態における相転移点と臨界点上の物を,計算時間数に応
じて,詳しく知る事ができる.
 2次元q状態ポッツ模型の q=4,10 などにおいて,臨界現象と非平衡
緩和の計算を行い,クラスター間の相互作用を取り入れたマルチグ
リッド法の有効性を検証する.マルチグリッド法の有効性は,単独
クラスター法によるモンテカルロ法との比較を行い,確かめる.

経過と成果: 2次元強磁性q状態(q=4,10など)のポッツ模型は1次相転
移を起こす.正方格子模型の転移点Ttにおいて,マルチグリッドタ
イプのモンテカルロ法を行った.初期状態は秩序相より,無秩序相
よりの 2タイプを選び,転移点下で緩和させる.その結果と計算効
率は単独クラスター法(Swandsen-Wang)と比較した.256x256のサ
イズにおいては,磁化mの時間緩和曲線m(t)の収束は,単独クラス
ター法に比べて数倍程度速い.ただしtはモンテカルロステップであ
り,単独クラスター法のそれとは時間スケールが異なる.秩序変
数,エネルギーの値に限って言えば,物理量の平衡値への収束時間
(tで測った)が速いか遅いかの差異以外にデータの質の変化は認めら
れない.このとき,CPU時間は十倍以上,単独クラスター法の方が
短く,有利である.
 マルチグリッド法プログラムの効率化は重要である。効率悪化の
原因は,ハミルトニアンの繰り込み操作によって生じる,クラスタ
間の長距離相互作用である.これを排除すべく現在,アルゴリズム
とプログラムの改良を実行中である.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

加園克己.マルチグリッド法による1次相転移点上の平衡状態探査時
間III,日本物理学会講演概要集,第71巻第1号,2847.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

小野 いく郎

東京工業大学

田村 義保

統計数理研究所