平成111999)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

11−共研−2057

専門分類

8

研究課題名

時系列モデルによる主要経済変量関の相互依存関係の研究

フリガナ

代表者氏名

ハヤシダ ミノル

林田 実

ローマ字

Hayashida Minoru

所属機関

北九州大学

所属部局

経済学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

多変量の経済時系列データに対して?Linearly Related Dynamic Stochastic Trend Model、?System
Analysis with Autoregressive Model、?Seasonal Adjustment Modelを適用して実証分析を行った。
 まず、?と?については個々の系列をトレンド成分、季節変動成分、循環変動成分および不規則
変動成分に分解するモデルを構築した。さらにトレンド成分については適当な階差をとれば定常に
なるようなサブコンポーネントを仮定し、各変数のトレンドサブコンポーネントがどのような関係
にあるかに応じて3種類のモデルを考えた(MITモデル、LRTモデル、PLRTモデル)。MITモデルは
各変数のトレンドサブコンポーネントが独立に各変数のトレンドを規定するのに対して、LRTモデ
ル、PLRTモデルは各変数のトレンドサブコンポーネントが同時に一つの変数のトレンドを規程す
るところに重要な違いが存在する。したがって、LRTモデル、PLRTモデルはいわゆるエラーコレ
クションモデルの考え方を別の方法で実現したものと考えることもできる。さらに?については
循環変動成分に対してARDockパッケージを利用した。
 実際の解析にあたっては在庫投資と物価指数の関係を16の産業分野別に行った。主要な結果は
次のようである。?MIT、LRT、PLRTモデルを各産業分野に適当してAICで最良のモデル選択を
行ったところ、14分野でLRTモデルが最良と判断され、PLRTモデルが最良と判断されたのはわずか
2分野に限られた。MITモデルはいずれの産業分野でも最小のAIC値をとることはなかった。
?ARDockを用いたインパルス応答関数については物価→在庫が+、在庫→物価が−の事例が8分野、
物価→在庫が+、在庫→物価が−∞の事例が5分野、物価→在庫が−、在庫→物価が+の事例が
2分野、物価→在庫+、在庫→物価+の事例は1分野となった。この結果は物価の高騰(好景気)が
在庫増をまねき(意図した在庫増)、在庫の積み増しが物価の下落(不況)と重なる(意図せざる在庫増)
という局面をとらえたものと解釈できるかもしれない。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Moshiur Rahman,Makio Ishiguro and Satoru Shimizu,"Estimating Dynamic Linear Relationship Among
Trends of Nonstationary Time Series",第68回日本統計学会、北海道大学、2000年

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石黒 真木夫

統計数理研究所

大野 裕之

北九州大学