平成172005)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

17−共研−2045

専門分類

7

研究課題名

分子系統樹推定法の開発

フリガナ

代表者氏名

ハセガワ マサミ

長谷川 政美

ローマ字

Hasegawa Masami

所属機関

統計数理研究所

所属部局

モデリング研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

16 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

分子系統樹推定法は、生物進化や生物多様性を研究するための基本的な技術である。本研
究は、分子配列データから系統樹を推定するための統計手法の開発を行なうことを目的とす
る。近年多くの生物種でゲノムの全塩基配列が解読されるようになってきた。このような状況
下で、分子系統学の研究も、個々の遺伝子の解析によって行われてきたこれまでのやりかたか
ら、ゲノムデータという大規模データを対象としたものに変わっていかなければならない。本
研究は、このような最近の研究動向に対応した、データ解析技術の開発を目指してきた。
 ゲノムスケールの配列データが入手できるようになり、系統樹推定におけるサンプリング
誤差はなくなりつつあるが、逆にモデル・ミススペシフィケーションに伴って生ずる推定の偏
りによるシステマティックな誤差が重要になってきた。本研究では、実際のゲノムデータを解
析することにより、明らかに間違った系統樹を強く支持してしまう事例を挙げて、分子系統樹
推定の落とし穴と、それを避けるための方策を検討した。
 塩基配列データから分子系統樹を推定する際には、それぞれの塩基座位は独立に変異を蓄
積すると仮定した解析が通例であった。ところが蛋白質をコードしている遺伝子の配列では、
明らかにコドン単位の進化が起っているはずであり、コドン内の3塩基の進化は独立ではない。
従って塩基単位の置換モデルよりも、コドン置換モデルのほうが現実の過程を表現するために
はよいモデルになっていると考えられる。本研究では、さまざまなデータについて、コドン置
換モデルが実際の分子系統樹解析において有効であることを示した。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Kurabayashi,A.,C.Usuki,N.Mikami,T.Fujii,H.Yonekawa,M.Sumida,and M.Hasegawa(2006)
Complete nucleotide sequence of the mitochondrial genome of a Malagasy poison frog Mantella
madagascariensis:Evolutionary implications on mitochondrial genomes of higher anuran groups.Mol.
Phylogenet.Evol.39:223-236
Akasaki,T.,M.Nikaido,K.Tsuchiya,S.Segawa,M.Hasegawa,and N.Okada(2006)Extensive
mitochondrial gene arrangements in coleoid Cephalopoda and their phylogenetic implications.Mol.
Phylogenet.Evol.(in press)
Nishimoto,Y.,T.Takasaka,M.Hasegawa,H.Y.Zheng,Q.Chen,C.Sugimoto,T.Kitamura,and Y.Yogo
(2006)Evolution of BK virus based on complete genome data J.Mol.Evol.(in press).

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

足立 淳

統計数理研究所

岡田 典弘

東京工業大学

岸野 洋久

東京大学

下平 英寿

東京工業大学

Seo, Tae-Kun

東京大学

曹 纓

統計数理研究所

Zhong, Yang

Fudan University

二階堂 雅人

日本学術振興会

西本 由利子

統計数理研究所

橋本 哲男

筑波大学

松井 淳

総合研究大学院大学

三井 英也

総合研究大学院大学

村田 有美枝

東京大学

Yang, Ziheng

University College London

米沢 隆弘

総合研究大学院大学