平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−5

専門分類

1

研究課題名

確率過程の漸近分布論の研究

フリガナ

代表者氏名

ヨシダ ナカヒロ

吉田 朋広

ローマ字

所属機関

東京大学

所属部局

大学院数理科学研究科

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

7 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

確率過程の統計推測の漸近理論では、確率過程に対する漸近分布論が重要である。汎関数型の中心極限定理や、セミマルチンゲールのセミマルチンゲールへの弱収束、また、マルチンゲールの分布の漸近展開の導出を目的とする。


本年度の共同研究の一部を記す。確率過程の統計推測の漸近理論で重要な、確率過程の汎関数の漸近分布論とくに、分布の漸近展開について研究した。
幾何的強ミキシング条件を満足するセミマルチンゲールの規格化された加法的な汎関数の分布の漸近展開が、Gotze-Hippの離散時間の確率過程にたいする結果の証明と同様の方法で証明された。
ただし、分布のなめらかさを保証する条件付きクラーメル条件は最も本質的な部分であるが、マリアヴァン解析によってマリアヴァン共分散の非退化性の条件で置き換えられ、これによってセミマルチンゲールに対して非退化性が検証できれば分布の漸近展開がヴァリッドであることが示された。
この非退化性の検証にはジャンプ型のマリアヴァン解析が有効であり、これについては結果が知られているので、したがって、セミマルチンゲールにたいして漸近展開が得られた。東京大学の楠岡教授の結果によって、拡散過程が幾何的強ミキシング条件をもつ十分条件がわかったので、結果として、多次元拡散過程の汎関数の分布が漸近展開できるための十分条件が得られた。この結果は広範な非対称拡散過程に対して適用可能である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Expansion of perturbed random variables based on the Malliavin calucluslu.
Statistique Asymptotique des Processus Stochastiques,LeMans,Jan 27,1997.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

セミマルチンゲールの汎関数にたいする高次の漸近分布論は、高次統計理論を展開するのに不可欠であるが、多くの部分が未知である。分布の滑らかさをどう捉えるかが一つの問題点であるが、マリアヴァン解析がある場合に役立つことが知られている。この方向で本課題ではマリアヴァン解析による漸近分布論の研究をする。また、ミキシングなど他のアプローチも試みる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

植村 英明

愛知教育大学

尾形 良彦

統計数理研究所

阪本 雄二

名古屋大学

茂野 洋志

     

志村 隆彰

統計数理研究所

杉田 洋

九州大学