平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−77

専門分類

7

研究課題名

歯および歯列に関する統計数理学的研究

フリガナ

代表者氏名

ソウマ クニミチ

相馬 邦道

ローマ字

所属機関

東京医科歯科大学

所属部局

歯学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

8 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

調和のとれた咬合の確立をめざす歯科矯正学において、咬合を形づくる重要な要素として、歯およびそれらの集合した歯列がある。これらの形態的および機能的な要素の相互関連性を統計数理学的に分析し、不正咬合の診断や治療に対し、有効な指針を与えることを本研究を目的とする。


前年度は、歯幅値という観点から、正常咬合の成立に対し正常咬合者群と不正咬合者群との比較を中心に検討を行った。その結果、一般に言われるように歯幅値に関しても個々に潜在する‘大きさ’という要因は非常に大きいことが確認された。そこで平成5年度は、大きさの基準化の試みとして、上・下の歯列内での1歯1歯の割合を算出することにより、比率に関する検討を行った。その結果、上顎については正常咬合者群で中切歯と第一大臼歯が有意に大きく、第一小臼歯と第二小臼歯が有意に小さかった。下顎では正常咬合者群で第一大臼歯が有意に大きく、第二小臼歯が有意に小さかった。
このことから、正常咬合の成立において歯幅値の比率の因子が示唆されたことは興味深く、今後さらなる考察が必要と思われる。
また、分布型に関して正規性の検定を行った。まず、両群の1歯1歯の分布型についてShapiro-Wilk検定を行ったところ、両群ともすべての分布型の正規性が確認された。
次いで、上顎7歯・下顎7歯の同時分布が多変量正規分布に従うかどうかについて検定したところ、正常咬合者群においては、歪度・尖度ともに多変量正規分布に従うことが確認されたが、不正咬合者群においては、上顎7歯を変数としたときの歪度において多変量正規分布に従わないことが確認された。
これにより、不正咬合者群における、‘咬合の調和を乱す因子’の存在が示唆された。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

平成6年度日本矯正歯科学会雑誌 発表予定


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

本研究は昭和62年度より、東京医科歯科大学歯学部矯正科所蔵のデータを基に、主として、多変量解析の手法を用いて進められている。平成4年度は、特に正常咬合者の歯の大きさを対象に検討を行い、不正咬合者との比較を試みた。その結果、調和のとれた咬合の成立には、特定の歯が大きく寄与しており、咬合を調和させる因子の存在が示唆された。
平成5年度は、それらの歯や因子について、さらに詳細な検討を行うとともに、顎関節のデータや有限要素法を用いたデータを加え、機能的な面からの検討を統計数理学的に行う所存である。それにより、矯正臨床における不正咬合の診断や治療目標の設定に有効な指針を与えることが可能となるものと考える。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

Kaewsuriyathumrong Chatri

東京医科歯科大学大学院

小西 貞則

九州大学

小林 郁子

東京医科歯科大学

杉浦 成昭

筑波大学

杉山 高一

中央大学

Hamilton Abreu

東京医科歯科大学大学院

松本 芳郎

東京医科歯科大学大学院