平成242012)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

24−共研−2088

分野分類

統計数理研究所内分野分類

i

主要研究分野分類

5

研究課題名

回転円すい体の外表面を上昇する液膜流の微粒化に関する非線形ダイナミクス

フリガナ

代表者氏名

アダチ タカヒロ

足立 高弘

ローマ字

Adachi Takahiro

所属機関

秋田大学

所属部局

大学院工学資源学研究科

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

60千円

研究参加者数

3 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

円すい体の頂角を下にして水に浸し回転させることで,円すい体の外表面を液が上昇し,液膜を形成する現象を本申請者等が見い出した.この現象を利用してコンパクトで消費動力が少なく手軽に噴霧特性(粒径の大きさ,粒径分布,流量など)を調節できる新しい微粒化機構の開発に取り組んでいる.円すい外表面の液膜には,遠心力が流体を表面から引き離し表面から飛散させる向きに作用するように考えられる.このため、遠心力は液膜を円すいの外表面に沿って上昇させ剥離せずに液膜流を形成させる要因とは考え難いなど,上昇液膜流生成のメカニズムについての詳細は明らかではない.本研究では数値解析と実験により回転円すい体の外表面を上昇する液膜流の生成メカニズムと微粒化過程および微粒化した後の液滴の噴霧特性を明らかにし,得られたデータの統計数理解析を行うことで,回転円すい体の回転数や頂角等と微粒化現象との相関関係を明らかにすることが目的である.

今年度の本研究では,膜厚を測定することにより,回転速度,浸水位置と液膜厚との関係を調べ,液膜流の微粒化特性を明らかにすることに取り組んだ.すなわち,液膜流の流量は水位によって判明しているので,特定の位置での平均速度は,膜厚が既知であれば流量で割ることによって得ることが出来る.その平均流速から,圧力勾配等を算出することを目指した. 今回実験に使用した円すいは,先端角 30度,円すい下部の最大半径r=40[mm]である.材質はアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂であり,表面粗さRa=1.6[マイクロm]であり,円すいの表面に特別な処置は与えられていない.液膜は高速回転している円すいの外表面に沿って上昇する.そのため,膜圧を測定するためには非接触式のセンサーを使用する必要がある.そこで我々は,超音波センサを用いて膜厚の測定を行った.センサーの分解は0.003[mm]である.円すいの回転速度は1100から2400[rpm]で,供給流量はQ=1 [l/min] で測定を行った.これより,回転速度が上昇するに従って膜厚が減少することがわかった.このことから,本実験では供給流量が一定なので,平均流速が増加したことがわかる.これは,回転速度の増加により液膜に作用する遠心力が大きくなり,円すいの稜線に沿った力が増大したことにより,液膜上昇の効果が増大したためと考えられる.

今後は,円すいの回転による振動を抑え,超音波センサーによる測定精度を向上させることと,様々な実験条件(回転数,円すいの頂角,供給流量など)の下で測定を行うことが課題である.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1) Keisuke Matsuda, Takahiro Adachi, Yusuke Ryu, Okajima Junnosuke and Takeshi Akinaga: Generation Mechanism of Rising Film Flow along the Rotating Conical Outer Surface and the Subsequent Atomization Characteristics, Proc. 9th International Conference on Fluid Dynamics, Sendai, Japan, September 2012, pp.158-159

2) 足立高弘:回転円すいを用いて生成されるミストによる酸素濃度の溶解促進、日本機械学会論文集B編(2013) 印刷中

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

特にありません。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

竜 優介

秋田大学大学院