平成292017)年度 重点型研究実施報告書

 

課題番号

29−共研−4305

分野分類

統計数理研究所内分野分類

j

主要研究分野分類

9

研究課題名

グローバル人材育成を目指す全学生を対象としたデータサイエンス副専攻の設計に関する研究

重点テーマ

データサイエンス人材育成メソッドの新展開

フリガナ

代表者氏名

ヤマグチ カズノリ

山口 和範

ローマ字

Yamaguchi Kazunori

所属機関

立教大学

所属部局

経営学部

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

196千円

研究参加者数

5 人

 

研究目的と成果(経過)の概要

グローバル化の進展とともに、本格的なビッグデータ時代に突入し、様々な領域において統計的思考力を兼ね備えた人材の必要性が指摘されている。しかしながら、人文社会科学系学生においては、大学入試等の問題に起因するその数理的知識の不足により、従来からの数理的側面を前面に押し出した統計教育になじめない学生も多い。統計教育において重要なことは、すでに諸外国においてその方向性が示されているように、統計的思考力や批判的に統計活用事例を見抜く力などに重点をおき、学生が統計的思考力や批判的判断力を身につけるべき教育を行うことである。また、このような能力は、その専門分野によることなくほぼ全分野の学生にとって身につけるべきものと考えられる。そこで、立教大学では、全学部の全学生をが履修可能な形でのデータサイエンス副専攻をスタートさせることとなった。この研究では、副専攻としてのデータサイエンスコースに向けた新たな教材開発や教育方法の構築を行う。一方、グローバル人材育成において、データに基づく問題発見・問題解決力に加え、多様性の高い組織やチームでの活動を有効に行うためのコミュニケーション力やリーダーシップスキルが重要視される。この研究では、その基礎として必要な統計的思考力育成と、多様性への理解、コミュニケーション力やリーダーシップスキルへ繋がる新たなデータサイエンス教育プログラム構築を目指す。
統計教育はすべての統計に関連する専門家が係わる分野である一方、必ずしもそれぞれの学生の資質に合わせた統計教育の方法が組織的に検討されておらず、それ故に日本では個々の研究者や教育者の暗黙知となりがちで組織的な標準化への取組みが遅れている。今回の申請研究では、国内外の大学や機関と連携をとり、「ビッグデータ時代に必要とされる統計的思考力」を育成する統計学習教材や統計教育の方法、さらに、学習成果評価の枠組みの確立を目指す。とくに、日本において産業界へ最も多くの人材を輩出している社会科学系学部での統計教育の充実は、日本社会がグローバル化に伴い現在目指している「暗黙の了解の社会から、証拠に基づく意思決定(Evidence based Decision Making)社会への変革」において重要な意義を持ち、またさらには、不確実な事象への対応力や判断力を養成することで、一定のリスクテイクが可能でコストを軽減した社会構築へと繋がることが期待できる。
2017年度は、立教大学において、共同研究者のJimmy Doi教授と共同で、新たな英語での統計教育科目の開発を行った。また、具体的な副専攻の設計を行い、2018年度より実施することとなった。今後は、既存科目の効果等を統計検定の結果等により測定を行い、必要に応じた改善を行う予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

重点型研究3「データサイエンス人材育成メソッドの新展開」研究集会に参加し、「立教大学におけるデータサイエンス副専攻とグローバル人材育成」と題した論文発表を行った。さらに、参加者との研究内容に関する議論を行い、次年度以降の課題の検討を行った。また、成果の一部を、2018年7月に京都で開催される統計教育に関する国際会議ICOTS10で発表予定である(採択済み)。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

個別での開催はなし

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

黒田 正博

岡山理科大学

Doi Jimmy

California Polytechnic State University

森 裕一

岡山理科大学