平成8（1996）年度　共同研究Ａ実施報告書

課題番号	8−共研−76			専門分類		7
研究課題名	疫学研究におけるリスク評価のためのプログラム・システムの開発
フリガナ 代表者氏名	タカギ　ヒロフミ 高木　廣文			ローマ字
所属機関	統計数理研究所
所属部局	調査実験解析研究系
職　　名	助教授
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配分経費	研究費	0千円	旅　費		0千円		研究参加者数	4　人

研究目的と成果（経過）の概要

疫学研究では，特定の疾病に対する要因の影響を適切に評価する必要がある。層別化した分割表からリスク比，リスク差，オッズ比などを求めることは，疫学研究の基本的な方法の一つである。しかしそのためのプログラム・システムの開発は不十分である。本研究では各種のリスク評価の方法を検討し，実用的なプログラム・システムを構築することを目的とする。


疫学研究では、特定事象(死亡等)への要因のリスクの評価は極めて重要な研究課題である。統計的な方法では、多重ロジスティックモデルや比例ハザードモデルなど、そのような目的に合致する方法がよく用いられる。要因は質的な場合も、量的な場合もあり、解析を行う場合、それらの混在を許す必要がある。
上記の点を考慮して、これまで開発してきたソフトでの多変量解析の多くの手法で量的変数と質的変数の混在を可能にした．数量化理論のように、もともとカテゴリカルデータの解析のために開発された手法もある．しかし、現実にデータ解析を行う場合、量的変数のみ、質的変数のみという場合は少ない．
これまで、質的変数を用いる場合、まずダミー変数にデータを変換してから、解析を行っていた．このようなカテゴリカルデータからダミー変数への変換を、個々の解析で簡単な指定を行うことで、分析可能になるように開発した．量的変数と質的変数の混合が可能となった方法は、重回帰分析、判別分析、正準相関分析、主成分分析、多重ロジスティックモデル、指数ワイブルモデル、条件付き多重ロジスティックモデル、比例ハザードモデルである．
これらの方法では、質的変数をダミー変数群に変換するだけではなく、変数選択や各種の検定などを、ダミー変数群をセットとして解析する．今後はWebサイトでの統計解析なども開発して行く予定である。

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

高木廣文:健康科学とコンピュータ,共立出版,1996年6月5日
高木廣文:疫学調査に基づくリスク解析ソフトの開発,第55回日本公衆衛生学会総会抄録集?,510,1996年10月30日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

これまで，層別四分表に関する共通オッズ比の近似的な推定方法，および正確な推定方法に関するプログラムを開発した。さらに，それらの信頼区間を構成するためのプログラムシステムなどを作成した。また，条件付きロジステッィク・モデルによるリスク評価のためのプログラムも整備した。さらに，グラフィックスによるデータ解析を容易にするためのツールも開発した。また，尺度構成のための信頼性分析のプログラムも追加した。平成７年度は，リスク評価に関連する統計学的な手法の基礎的な開発・研究を行うとともに，マン−マシンインターフェイスを考慮した，データ解析のためのシステムを構築するための基礎的な研究を行った。平成８年度では，現在広範に普及している Windows環境下で動作できるようなシステムにするための基礎的な研究と開発を行う。

研究参加者一覧
氏名	所属機関
佐伯　圭一郎	大分県立看護科学大学
佐藤　俊哉	統計数理研究所
中井　里史	横浜国立大学